旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->14.パリ(2)

2002/09/30 15:27

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 エトワール広場に建つ凱旋門も、美しさの裏に悲劇を秘めている。ナポレオンが三帝会戦に勝利した時に建築を命じた門であるが、彼は生きてこの門をくぐることはなかった。盛大な葬儀が行われる中で、彼は遺骸となってこの門を初めてくぐった。

 それにしても、この門の屋上からの眺めは素晴らしい。大小12の道路が放射状に広がっており、そのなかではコンコルド広場に真直ぐに伸びるシャンゼリゼ大通りが世界的にも有名である。道幅約100m、マロニエやプラタナスの大木が生い茂るようにして何列も並んで植わっており、広い舗道にはオープンカフェが立ち並び、いつも憩いの客で埋まっている。

 パリのシンボル、エッフェル塔は1889年に建てられたもので、すでに100年を超えている。広々と整地された広場に建つ高さ300メートルの鉄塔で、どっしりした重厚さと安定感があり、その形状と回りの景観の美しさに感嘆する。高いだけの東京タワーなどはとても比較にならない。

 ルーブル美術館。パリの数ある美術館の中で最も代表的なもので、質量ともに突出している。私は前後3回訪れたが、何度見ても素晴らしい。大英博物館同様ここも入場無料、写真撮影自由という大らかさである。ダビンチの“モナリザ”もミロの“ヴィーナス”も身近に見ることが出来たが、時間がなく残念だった。

 セーヌ河近くに建つ市役所は築後220年、現在でも内部を改装して使用していると聞き、歴史建造物を活かして使うフランス人気質に感心した。パリは見どころが多くて書き切れないが、総じて美しく洗練された歴史と伝統の素晴らしい都であることを実感した。
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