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怪我の功名

2004/11/08 15:27

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 新潟県中越地震の発生直後から、災害時の通話規制で、携帯電話がつながらなくなった。携帯電話で安否確認の連絡をする人が急増し、携帯電話には「しばらくお待ち下さい」とのメッセージが表示されたまま、なかなか開通しない。

 携帯電話は、今年9月末時点で8383万6600契約(電気通信事業者協会調べ)にものぼる。設置コスト負担を考えて、自宅に固定電話を置かなくなった一般消費者も今では多く、もはや携帯電話は固定電話を超える通信インフラになった。それだけに、携帯電話が使用できないのは大きな痛手だ。

 しかし、ある携帯電話事業者は、他のキャリアに比べつながりやすい傾向があったという。そのあるキャリアとはKDDI。

 小野寺正社長は中間決算の会見で、「新潟県は、全国47都道府県のなかで最もauのシェアが低い地域。基地局にも被害は出たが、利用者の絶対数が少ないだけに、不通となるケースが他社よりも少なく、つながりやすかったのは事実」と話した。シェアの低さが、皮肉にも大災害で不安を抱える被災者を救った場面もあったようだ。

 携帯電話なら避難中でも通話ができる。非常時の回線確保という目的もわかるが、被災者や安否を気遣う関係者の気持ちにもなって、もう少し“つながって”欲しいのだが。
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