アマチュアのためのゴルフ心理学

<アマチュアのためのゴルフ心理学>17.スイングにこだわりすぎない

2004/11/29 15:27

週刊BCN 2004年11月29日vol.1066掲載

 ゴルフが上達しないとき、スコアがなかなか縮まらないとき、人は大抵スイングのせいにしたがるようである。「スイングを改善している途中だからまだうまくいかなくて当然」、「スイングさえ思い通りのものになったら結果はついてくる」といったことを頑なに信じている人は少なくないのではないだろうか。

 もちろん、まったくクラブも握ったことがないというのであれば、まず基本のスイングを知る必要がある。しかし、少なくともコースに出てプレーをしているレベルになると、実はラウンド中にスイングにこだわればこだわるほど、いい結果は生まれない。

 その理由の1つに、スイングにこだわりすぎる人に共通して、ラウンドをゲームとして捉えられず、本番が練習になってしまっているということが挙げられる。

 本来、直したい点があれば練習場で改善し、本番はその時点までにできていることを発揮するものである。これに集中すればいいのだが、スイングにこだわりすぎる人は、本番でも練習のような気分でプレーしてしまうのだ。

 そこでは、失敗もスイングのせいなので、ゲームマネジメントを真剣に考えたり、ミスを挽回しようとする努力もしない。完璧なショットができればミスも起らないと信じているので、ゴルフで最も重要なミスショット後の挽回の大切さ、切り替えの重要さ、戦略、といったことを考え学んでいくことができないのである。

 しかし実際は、完璧なスイングなどあり得ないし、万一できるようになったとしても、ラウンド中は状況や精神状態がその時々で変化するので、完璧であり続けることはほぼ不可能といえる。

 ゴルフは、様々な要素が複雑に絡み合うから面白いゲームなのであって、スイングはそのゲームをするための手段の1つに過ぎない。スイング改善を目的にするのをやめ、もう少しゲームとしてのゴルフの上達を目指せば、ゴルフはもっと楽しくなり、スコアも格段に良くなるはずである。
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