旅の蜃気楼

初秋二題

2005/09/26 15:38

週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載

▼大きな台風が続いた。9月5日、応研社長の原田明治さんに会うため、九州出張に出た。福岡上空にくると、飛行機は着陸態勢をとるため高度を下げ始めた。機体は思いのほか強く揺れた。上下ではなく、左右に強い力で引っ張られるように動くから、引きちぎられるようでとても気味が悪い。滑走路に滑り込んだ時にはほっとした。原田社長に「飛行機は怖いね」といったところ、「そう。もう乗せてあげられないね」と、軽く笑われてしまった。

▼原田さんは数年前に飛行機の免許を取得して、金沢あたりの出張には佐賀空港からひとっ飛びしている。飛行機を車代わりに乗り回しているIT業界の経営者は、原田さんだけだと記憶する。怖い怖い。そうそうに引き上げて、ホテルで天気予報を聞くと、明日の朝から最悪になるという。「やはり、飛行機に乗るのはよそう」。

▼やっと秋めいてきた。先日、メガソフトの社長・前坂昇さんが、たねや製「栗きんとん」をお土産にぶらさげて、編集部を訪ねてこられた。さっそく、楊枝で切りながら、おいしくいただいた。味覚の秋がやってきた。嬉しい。発売して20周年を迎えた「MIFES(マイフェス)」のプレミアムパックを記念に2000本つくったから持参したとのこと。マニュアルは6種類あって、厚さは5.5センチ。とても重い。1枚のCD-ROMには10年前の「MIFES」Ver.5.5 for DOS/V、同for PC-9800、3年前のfor Linux、 2年前のfor ウィンドウズ Ver.7.0がまとめて収録されている。価格は3万6000円。ネットで直販をしたら、「あっという間に200本が売れたので、驚きました」というほど、固定客を持つエディタソフトだ。その日はまだ暑くて、額に汗をかいておられた。もし、栗きんとんがその重さだったら、と思うと、前坂さんに叱られそうなので、一粒の味覚は千金に値する、と確信を持つことにした。(本郷発・奥田喜久男)
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