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セキュリティ──最後の関門は「ヒト」

2006/10/02 15:27

週刊BCN 2006年10月02日vol.1156掲載

 教育ソフトなどを開発する企業の技術者は、セキュリティ対策の「最後の関門は『ヒト』」と断言する。最新の防御機能を施したメールアプライアンスやソフトの発表は途切れることがない。未知のウイルスや亜種にも対応する「ヒューリスティック・スキャン」の技術を採用した製品が次々と世に出されている。しかし、脅威との「いたちごっこ」が続くなか、根本的な解決策はまだ見えてこない。

 技術は格段に向上しているが、セキュリティ対策ツールが、必ずしも100%信頼できるという保証はない。なぜなら、対策ツールをすり抜ける術を見つけるのは簡単なことだからだ。情報セキュリティの難しさは、最終的にパソコンを扱う人の、意識や判断力、モラルに依存せざるを得ないことにある。「ソフトやツールが優れていても、人が意識を変えなければ巧妙化する脅威に対抗することは難しい」。そこに教育サービスの果たせる役割があるのではないかというのが、この技術者の意見だ。

 そこで、迷惑メールを安全に処理する訓練サービスを始めた。訓練対象者の年齢が高いほど、迷惑メールを開封する割合が多い。なかにはあらかじめ訓練内容を教えていても忘れて開封する人がいるという。にもかかわらず、人の教育に対して、企業側の理解はまだまだ低いのが現状だ。「いたちごっこ」を終わらせるには、このヒトという最も厄介な関門に対策を講じる必要があるようだ。
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