北斗七星

北斗七星 2006年11月6日付 Vol.1161

2006/11/06 15:38

週刊BCN 2006年11月06日vol.1161掲載

▼金曜日の夜、グループ各子会社の従業員が数人ずつ異動を命じられた。その時、ソフトバンク本社ビル内は騒然となる。集められた従業員は数百人。この日のうちに2階の大フロアに荷物を抱えて移動。翌週火曜日(01年6月19日)、孫正義社長がADSLサービス「Yahoo!BB」を発表し、初めて異動の理由を知ることになる。

▼そして今年、携帯電話の番号を変えず他社乗り換えを可能にする「ナンバーポータビリティ制度」開始前夜(10月23日)、「Yahoo!BB」発足時と同じく「一部役員にしか知らせず」(孫社長)に〝価格破壊〟を打ち出す戦略を前触れなく公表。だが、顧客争奪戦のヤマ場に「新システム」がダウンした。「Yahoo!BB」開始時にも開通まで数か月を要し、今回も同じ過ちを繰り返した。

▼今や「大手流通・卸」ではなく、「通信キャリア」の冠を前面に出すソフトバンクBB。携帯電話はシェアで後塵を拝しているため、「サプライズ」も戦略としてあるだろう。だが、準備不足を露呈し、利用者に迷惑をかけてしまった。孫社長は、NTTの「IP網」不具合でこう評したとの報道があった。「電話会社として稚拙」と。ノウハウ不足を痛烈に批判していたが、その言葉は天にツバする格好になった。

▼利用者が急増すれば、通信にかかる負荷を読み誤る可能性はある。しかし、現代社会で通信断絶は、経済活動や日常生活に大打撃となる。米国に比べて遅れる「危機管理」意識の低さを改める時がきたようだ。
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