北斗七星

北斗七星 2007年10月1日付 Vol.1205

2007/10/01 15:38

週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載

▼総務省の「モバイルビジネス活性化プラン」がまとまった。キャリアの反対の大合唱を押し切る形で、2011年までに販売奨励金の分離やSIMロック解除などの目標を決めた。自前の携帯電話回線を持たない異業種企業が回線設備などを借りて携帯電話サービスに参入できるMVNO関連ビジネスの推進なども見込んでいる。

▼販売奨励金によるビジネスモデルは、確かに携帯電話の買い替えを促進させ、小学生からお年寄りに至るまで世界に類のない最先端の端末を普及させた。しかし、かつてはトップランナーだった携帯電話メーカーはキャリアの下請けと化し、いまや世界市場での存在感はみる影もない。最大の消費市場である中国でも、日本のメーカーはあらかた撤退し、完全に蚊帳の外だ。技術は一流、製品も一流。しかし、グローバル市場では相手にされないというのは、なんだか現代日本の縮図のようだ。

▼通信インフラや規格が絡む話だけに、ことが一朝一夕に運ばないのは分かるが、それにしても遅きに失したという感は否めない。市場の立ち上がり時期に有効だった販売奨励金は、一方でメーカーの販売ノウハウやマーケティング能力を損なう結果をもたらした。その功罪を業界の誰もが知りながら、役所の勧告がなければ事態が進展しないというのでは、あまりに時代遅れだろう。活性化プランによって、一時的な市場の停滞や海外メーカーの攻勢にさらされるとしても、それをバネに、再度国際市場への挑戦を期待したい。
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