北斗七星

北斗七星 2008年11月3日付 Vol.1258

2008/11/03 15:38

週刊BCN 2008年11月03日vol.1258掲載

▼クライアント/サーバー(C/S)環境だけで動かす企業システムの提供は早晩行き詰まる。一方で「クラウドコンピューティング環境」へ移行するまでには時間を要する。とはいえ、企業の情報システム環境は急速な変貌を遂げるのは間違いない。システムを提供する側は、頭をフルに働かせる段階にある。

▼需要が鈍る一方のIT業界で生きる道を、中堅・中小企業向けを得意とするSIer幹部はこうテーマづける。「新サービスへのラストワンマイル」。国内の企業にあるC/S環境にSaaSアプリケーションなどを付加してクラウドに移す提案はまだ理解を得にくい。まず手始めとして、仮想化技術を使って企業システムの効率化・低コスト化を図り、徐々にWebサービス環境に慣れさせる。その先のラストワンマイルに「新サービス」があるというのだ。

▼「ラストワンマイル」とは光通信の加入者宅から最寄りの加入者局までの回線を指す。光回線が普及途上の頃、1マイルを光ファイバーで結べば「新たなサービス」を生むと、IT業界がこのフレーズを使って早急な回線整備を喧伝した。しかし、光回線の整備が進んでも、それを生かした有力サービスはまだ出ていないように思う。クラウド時代に向けた取り組みも、未だ「雲の中」である。

▼日本のITベンダーはITバブル期を経て構造改革を断行。比較的手元資金が潤沢とされる。「クラウドの時代は必ずくる」と判断し、欲しい技術をM&Aで買ったり開発投資すべきだ。
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