旅の蜃気楼

すごい人が評価した“すごいやつ”

2009/09/25 15:38

週刊BCN 2009年09月28日vol.1302掲載

【大阪発】キリンのように背の高いジャズベーシストのロン・カーターにサインをもらったのは、もう10年ほど前になるだろうか。場所は東京・青山の、移転する前のブルーノートだった。そのロン・カーターの名前を久しぶりに聞いた。大阪に本社を構えるエムオーテックスを訪ねた時のことだ。社長の高木哲男さんが「ロン・カーターがここに来て演奏するよ」という。

▼“ここ”とは、本社所在地のある西中島南方駅から歩いて5分の場所だ。自社ビルは2棟目で、2007年12月に現在のビルを建てた。地下1階に「WAZZ」というJazz&Barを作った。ジャズは高木さんの趣味だ。名器として名高いベーゼンドルファーのピアノが置いてある。「このピアノを弾きたいというプロの方もいますよ」。ロン・カーターは11月10日、ここ「WAZZ」で大阪単独公演を行う。当日券は1万円。すごいな。「へぇー、ロン・カーターがここに来て演奏するんですか」と驚きの声をあげた。「日野皓正も来て、演奏してくれたよ。この壁にある落書きは彼が書いたんだ」。

壁に日野皓正の足跡が。日付は2008年2月2日となっている

▼エムオーテックスは大阪に本社を構えるセキュリティーソフトメーカーだ。1990年に創業。高木さんの名前はそれ以前に知っていた。ダイワボウ情報システムの基礎を築いた、故・山村滋さんに聞いた。「うちには、高木っていうすごいやつがいるんだよ」。すごい経営力を持った山村さんが“すごいやつ”というぐらいだから「すごい人なのだろう」と印象に残った。高木さんは山村さんの下で仕事を覚え、独立してエムオーテックスを創業した。その当時からパソコン・ネットワークの時代が到来することを予感していたという。インターネットの開花は1995年だったから、早い時期の予感だ。ネットワークを通じて会話をする時代が来る。インターネットの中でコミュニケーションの渦が巻く。ほんとにその通りになった。“すごいやつ”というのは、人を感動させる力をもっているようだ。(BCN社長・奥田喜久男)
  • 1