▼首都圏の通勤者であれば、朝刊の全面を熟読するくらいの時間で出勤できる。だが、同程度の時間内に数百億円という予算にバッサバッサと「廃止」の烙印が押されるとしたらどうか。政府・行政刷新会議の「事業仕分け」。3兆円の削減額ありきで、実質的な論議をされないまま、重要事業までが“仕分け人”に切られたら、と不安を抱くのは私だけではあるまい。

▼IT関連の来年度予算に限ってみれば、確かに「細かな仕分け」が必要な事業もある。天下りの多い独立行政法人を対象にした厳しい査定はアリだろう。文部科学省が計上した「学校ICT活用推進事業」は粉々にされ、「廃止」が決まりそうな雰囲気だ。学校ICTに関していえば、前政権が計画に基づいてきちんとITインフラ自体を整備してこなかったという恨みはある。ただ、すでに導入されたITインフラをどう活用するかはこれからだった。

▼確かに、「類似事業があり、吟味が必要」とIT関連を司る部分の重複性を指摘する意見も出ていて、今後に期待をもたせる部分はある。かつて総務省と経済産業省の再編・合併が議論されたが、「IT業界の活性化」や「ITを利活用して生産効率を上げる」などの懸案事項には両省庁から事業計画が出ていた。

▼「事業仕分け」の作業が、従来の縦割り省庁の無駄を省き、共通事項を一つにまとめ、より効率的な事業に仕立てるということならば納得がいく。ただ、“仕分け人”は、そのあたりを理解しているのか、疑問は残る。