北斗七星

北斗七星 2010年6月14日付 Vol.1337

2010/06/17 15:38

週刊BCN 2010年06月14日vol.1337掲載

▼「らい患者(ハンセン病)に対する適正な医療の普及を目的する」と、“美辞麗句”が並べられた「らい予防法」。1953年に制定されて以来、ハンセン病患者はこの法の下、96年に同法が廃止されるまで「隔離」を強いられた。廃止に至るまでの43年間、感染力と発病力が極めて弱いことが分かり、「治癒する病気」であることが国際的な常識となったにもかかわらず、政府は放置し続けたのだ。

▼頑として動かない政府が、重い腰を上げたのは、同法廃止と同じ年。折しも、新首相の菅直人氏が厚生労働大臣時代に英断を下し、「薬害エイズ裁判」に関して謝罪したことで、急転したのだ。こうした感染者を隔離し、蔓延を防止する当時の政府のスタンスは、菅氏の謝罪で覆った。ハンセン病とエイズ感染者を特別扱いする風潮を一掃する機運をつくることができたのだった。

▼菅・新政権は、発足以前から高い支持率を得た。民主党の小沢一郎・前幹事長の影響力を極力排した人事などが受け入れられたようだ。新政権に期待が集まったのは、そうした権力闘争に一定の道筋を示したことだけではない。「薬害エイズ」の時のようなトップの「決断力」と「指導力」を国民が求めているからだ。

▼「ITは票に結びつかない」との言葉を国会議員からよく聞く。菅氏がどれほどITに造詣が深いか分からないが、「ITの発展なくして日本の発展はない」ことを理解してほしい。あらゆる産業発展に影響を及ぼすことを知れば、IT投資を優遇するなどの“英断”があってもいい。
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