北斗七星

北斗七星 2010年10月18日付 Vol.1354

2010/10/21 15:38

週刊BCN 2010年10月18日vol.1354掲載

▼IT業界で「パブクラ破産」なる言葉が囁かれている。風俗店に入り浸って、スッカラカンになることではない。従量課金制で利用する「パブリッククラウド」の使い方を誤り、知らず識らずのうちに毎月の支払いが増大。資金力に乏しい中小企業が倒産に追い込まれるという現象を指しているらしい。安くて簡単にみえるクラウドも、計画的に導入しなければ、コスト高になるという警鐘である。

▼一方、こちらはクラウドの進展に伴って、現実になりつつある現象だ。受託ソフトウェア会社から、「クラウドが本格化すれば事業規模は半減する」との嘆きが聞こえてくる。実際問題として、ITベンダーは「破産」が避けられない状況にまで追い込まれているというのだ。

▼富士通など大手ITベンダーは、「下請け」として使ってきた受託ソフト会社の“救済策”となると口が重くなる。それ以外の中小SIerを、従前通りチャネルとして使うことは念頭にある。だが、「下請け」業務を中国など新興国に出すことはあっても、国内ベンダーに割り振る数は明らかに減る。

▼このことに異議を唱えるベンダーも少なくない。だが、日本の企業システムは、世界に比して高価な「手作り」が多すぎる。ユーザー企業にしてみれば、作り込まれすぎたが故に、次の投資に二の足を踏む。この状況が続くと、日本のIT産業は需要が伸びないという悪循環に陥る。クラウド時代は確実にやってくる。ベンダーは、いま変身しなければ、未来はない。
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