国内プリンタ業界の2010年は活況だった――と言いたいところですが、年末に各プリンタメーカーの社長に聞いたところでは、「ちょっと戻っただけ」との答えでした。それでも、月別前年対比では、どの調査でも増加傾向にあります。IT業界の他の分野の成長がじり貧のなかで、かなり善戦した領域であったことは事実でしょう。
2010年に活躍が目立ったメーカーの一つに、OKIデータがあります。同社は来年度(2012年3月期)に国内ページプリンタシェアを10%にすることを目標に掲げています。「かなりハードルが高い」と社内外から疑問視されながら、国内に関していえば、競合メーカーに比べて勢いがあり、達成は現実味を増しています。
その要因の一つが、世界で同社だけが繰り出す「5年間無償保証」という大きな制度転換です。いわゆる「ストック」をいただかないでもビジネスが成り立つようにした画期的な制度です。追随するメーカーはいまのところありませんが、いくつかのメーカーが研究し始めています。
いま、世界的に流行の兆しがみえるマネージド・プリント・サービス(MPS)やオンデマンド・サービスなど、プリンタ業界全体が従来の収益モデルを変えようと躍起になっています。この動きは2011年で確実に加速します。そこがプリンタ業界の見どころになりそうです。(谷畑良胤)
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OKIデータ プリンタ製品群が完成 2011年度はシェア10%へメールマガジン「Daily BCN Bizline 2010.12.27」より