今日のひとことWeb版

SIerの「SI」がなくなる!

2012/05/10 15:26

 IBMの垂直統合モデル「PureSystems」が波紋を広げています。やや荒削りに表現すれば、メインフレームとアプライアンス、クラウドのいいとこ取りをしたモデル。純IBMのアーキテクチャに揃えることでオーバーヘッドロスをなくして効率化を図るという考え方です。

 これを受けて、NTTデータの山下徹社長は、「今、行われている第三者が受託的にSI(システム構築)を請け負うモデルは早晩消滅する」と言い切りました。確かに、みんながクラウドという“借家”を使うようになれば、オーダーメイドの戸建て住宅の需要は減るでしょう。

 ただ、“借家を建てる”需要は、むしろ増える可能性があります。山下社長は「借家をつくり、運営する“SI技術”は、今後ますます重要性が高まる」と、話しています。

 垂直モデルの流れでは、OracleとSunの統合に関して、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の奥田陽一社長が、「IT周辺も含めた総合サービス企業になっていかなければならない」と、情報サービスベンダーのあるべき姿を指摘しています。

 日本IBMのトップソリューションベンダーのJBCCホールディングスは、「PureSystems」を戦略商材の中核と位置づけながらも、一方で、同社がオリジナルで開発した情報連携や経営判断支援ツール、ERP、BPOといった総合的なサービスメニューで包み込むかたちで、「自らのビジネス領域を広げる」(JBCC-HDの山田隆司社長)という方向性を明確化。中国でのクラウドビジネスの立ち上げも明らかにしました。

 オーダーメイドの受託SIは「寿命を迎えた」(NTTデータの山下社長)という印象が一段と強くなった格好ですが、むしろ情報サービスのビジネス領域をより広げる好機と捉えることもできそうです。(安藤章司)

【中国でクラウドビジネスを立ち上げるJBグループの記事はこちら】
JBグループ、中国・大連を拠点にクラウドビジネスを立ち上げ、9月めど
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.5.10」より
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