▼4年前の北京五輪開催中、私はロンドンにいた。日本選手の活躍を観ようと、テレビの前に待機したが、日本人好みの競技の放映はごくわずか。アジア地区の大会だからか、クリケットに比べて、五輪の放映時間は短かった記憶がある。放送業界が視聴率を獲得するために、地元民が興味をもつ競技を優先的に放送するのはやむを得ない。それにしても、当時のロンドン市民は北京五輪に興味が薄いようにみえた。

▼7月27日からロンドン五輪が開幕する。ロンドンでの開催は64年ぶり。日本はまだ世界大戦の痛手から脱しておらず、前回のロンドン五輪には不参加だった。今回はロンドンでの開催なわけだから、市民は、分け隔てなく競技をテレビ観戦できるはずだ。

▼スポーツ観戦の仕方も、この4年の間に様変わりした。だが、今大会からSNSが規制される。ナマで観戦した際に撮影した画像・映像をFacebookなどで投稿することを禁止した。スポンサーの利益保護が目的というが、取締りの方法も規制の罰則も不明確だ。むしろ、市民が放送と違う視点で競技を知らせる。そのほうが、別の角度で面白さが拡散し、ロンドンの魅力も伝わるはずだ。（吾）