今日のひとことWeb版

パン屋にデータ活用ツールを!

2012/08/01 15:26

 2か月ほど前、独IBMは、ドイツの主要新聞数紙のウェブサイトでデータ活用ソリューションの広告を打ちました。キャッチフレーズは、「町のパン屋が顧客情報を分析し、経営を改善する」。

 IBMをはじめ、大手ITベンダーが提案するデータ活用ツールには、使い方が難しく、データ解析のエキスパートがいなければフル活用できないというイメージがあって、なかなか導入が進みません。このイメージを払拭するために、データ活用ツールの使い手として、あえて「町のパン屋」といういかにも活用へのハードルが高そうなユーザーを想定し、大胆に市場のすそ野を広げようとする独IBMの広告は、非常に斬新でした。

 パン屋さんやケーキ屋さんなど、個人経営で小規模な事業者の多くは、実は膨大な量の顧客情報を抱えています。そのデータを分析して、お客様の好みや買い物の行動パターンを細かく把握することで経営改善を図るのは、決して非現実的な話ではありません。ただし、ここで問題になるのは、これまで主に紙ベースで管理してきた顧客情報をいかにデジタル化するか、ということです。

 先日、東京都調布市にこぢんまりとした店舗を構える洋菓子の老舗、ウイスタリア洋菓子店を取材してきました。ここはITコーディネータの力を借りて、ウェブサイトなどのITツールを駆使し、顧客の拡大に取り組んでいます。老舗でありながらITの利活用に積極的で、今後はデータを分析する仕組みの導入も検討するということです。

 ウイスタリア洋菓子店の課題も、やはり紙データのデジタル化。しかし、このハードルさえクリアすれば、光はみえてきます。あらゆる業種、あらゆる規模の事業者が、あたりまえのようにデータを分析し、活用する日は、そう遠くありません。(ゼンフ ミシャ)

【記事はこちら】
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>87.ウイスタリア洋菓子店(下) データ活用を視野に入れる
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.8.1」より
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