北斗七星

北斗七星 2012年9月17日付 vol.1448

2012/09/20 15:38

週刊BCN 2012年09月17日vol.1448掲載

▼最近、会う人たちの多くがミャンマーを訪ねようとしている。かくいう私も7月にミャンマーを見てきており、まだの方にはすぐ視察されることをお勧めする。ASEAN諸国への進出を着想する経営者にとっては、事業展開におけるミャンマーの役割を実感する機会となるからだ。

▼現地へ出かけるなら、今がいい。変化が速いので、後になるほどミャンマー人の原型を感じることが難しくなると思う。もしその気になって出かける時には、一冊の本をポケットに入れて搭乗してはいかがだろうか。会田雄次の『アーロン収容所』(中公文庫)がいい。終戦直後から1年9か月間に及ぶミャンマーでの捕虜体験を1962年に書き下ろした本だ。

▼捕虜の立場で感じたビルマ人とインド人の印象。そして捕虜を抑留した側に対する「イギリス人には、赤ん坊だろうが子どもだろうが哀願されようが殺してしまいたいほど憎しみをもつ」という生々しい思い。日本軍の軍人から捕虜の身となって変化する、日本人自身の今にも通じる醜態。京都大学の歴史学教授としての著書だから、読み飛ばせない。読みながら、人間の本質を考えた。人は、受けた痛みを忘れない。(直)
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