『週刊BCN』の連載「営業マネージャーたちの最前線」では、IT企業で奮闘している営業リーダーに、営業現場での様子やマネージャーとしての工夫などを語っていただいています。ここでは、紙面では掲載しきれなかったエピソードをご紹介します。
*「営業マネージャーたちの最前線」本編は
『週刊BCN』1501号(10月14日号)に掲載しています。ぜひご覧ください。
[語る人]
●profile..........清田 和敏(きよた かずとし)
2002年、大学卒業後、法人向けITソリューションベンダーに入社。プログラマやネットワークエンジニアを務める。その後、自動車メーカーの情報システム部門への転職を経て、08年、サイボウズに入社し、SE部に配属。11年、パートナー営業部に異動し、メーカー系パートナーを担当するチームのリーダーに就任。
●所属..........営業本部
パートナー営業部
主任
●担当する商材.......... 業務アプリケーション構築クラウド 「kintone」
●訪問するお客様.......... 日立製作所など、販売パートナーである大手メーカー
●掲げるミッション.......... パートナー販売を活性化し、クラウド事業を成長させる
●部下を率いるコツ.......... ガードを下げ、聞きやすい雰囲気をつくる
●リードする部下.......... 3人
サイボウズは直接販売に力を入れてきたので、社内には「受注して終わり」という考えが根づいている。しかし、とくにメーカー系のパートナーに当社のクラウド製品をもっと積極的に販売していただくためには、パートナー向けのサポートを拡充させることが重要だと思う。
この8月、一人の新メンバーが僕のチームに入ってきた。彼と初夏に開いた会社のバーベキュー会でチームの活動についていろいろ聞いてきて、旧部署からの異動を希望していた。ところが、それがかなってチームに入ったはいいが、提案がなかなか受注につながらないなど、最初はうまくいかなかった。担当するパートナーが業績が振るわないこともあって、積極的に外に出て営業活動に励んでも全然売り上げにつながらない状況が続いた。おまけに、お客様やパートナーからのクレームで、トラブル対応も多かった。
「自分のやり方が正しいのか」と悩む彼の姿からは、つらさが伝わってきた。そこで、これまでパートナーに任せていた案件のクロージングをサイボウズ側でカバーすること、すなわちパートナーへの支援を受注につなげる営業方法を試してみよう、と提案した。部下はその提案に乗り、全部一人で準備を整え、懸命にクロージングのサポートに取り組んだ。パートナーは「そこまでしてくれるのか」と驚きながら部下の努力を評価して、ようやく注文を決めていただいた。これからも、この部下が経験を生かして、パートナー支援を武器に実績を伸ばしてくれることを期待している。
サイボウズは開発中心の会社で、マーケティング活動も活発だ。その一方で、営業は、どちらかといえば地味なイメージがある。リーダーとして、営業活動がもう少し目立つようにしたい。
実は、僕は営業に配属される前に、長年、エンジニアとしてのキャリアを積んできた。もともと前職でサイボウズ製品の運用に携わり、使いやすさに憧れて転職を決めたという経緯がある。大げさに聞こえるかもしれないが、僕はサイボウズという会社がとても好きだ。タバコのライターやスマートフォンの保護ケースをサイボウズのコーポレートカラーである青で揃え、友人にいつも自慢している。最近は、休日に自宅で製品の機能を紹介するサイトをつくり、サイボウズ製品のよさを違う角度からアピールしている。
こうして、常に一歩先を走る営業活動を見せることで部下たちに刺激を与え、パートナー販売の活性化を目指している。