その他
サイボウズの「kintone」 想定外の利用拡大にうれしい誤算 デファクトスタンダードを目指す
2013/05/16 21:03
週刊BCN 2013年05月13日vol.1480掲載
想定外だ──。サイボウズが2011年に提供開始した業務アプリケーション構築クラウド「kintone」が、同社の青野慶久社長の当初の見込みを越えて、早くも独り立ちし始めている。青野社長は、当初、中堅・中小企業(SMB)で主に普及するだろうとみていたが、超のつく大企業にも使われて基盤になるなど、うれしい誤算に顔をほころばせる。
「kintone」は、ビジネスクラウド「cybozu.com」が提供するウェブデータベース型のビジネスアプリを作成できるサービス。仮に、既存システムを改築しなくても、財務、販売、顧客など業務で扱う情報の共有を簡単に実現できる。通常、この手の接続・連携には、スクラッチ型の個別開発が必須となる。「kintone」は、この部分を大幅に削減できることから、日を追うごとに評判が高まった。「クラウド技術をもっていたからこそ成せる業」(青野社長)であり、クラウドの普及と相まって、わずか1年半で650社以上が導入し、ユーザー数が加速度的に増えている。
発売当初、こんな案件が舞い込んでいた。例えば、小売・スーパーなどの基幹系システムのデータをAPIを使って「kintone」と連携して、店舗の店員がタブレット端末で閲覧する、という使い方だ。一般的には、セキュリティや開発コストの面で利用者が制限される。だが、セキュアな「kintone」環境で接続することで、現場で必要な時すぐにデータの集計や分析を実行できるようなった。
この類いの事例は想定内だ。ところが最近は、評判を聞きつけたシステムインテグレータ(SIer)やユーザー企業の情報システム担当者から、「こんなふうには使えないか」と、逆提案ともいえる案件が届く。ある介護事業者からは、訪問介護時のデータを自社だけでなく主治医や家族、あるいは自治体などで共有して高齢化社会を支えるインフラにしたいと考えて「kintone」を採用した。
「kintone」の案件は、ヒトが介在するデータの扱いに関する要望だけではないのが、このサービスの潜在的なポテンシャルを感じるところだ。ある製造業は、工場監視の一環で、施設内に設置した温度センサなどの情報を10分おきに自社の管理者間で共有できるようにした。これなどは、まさに想定外なのだ。
青野社長が「kintone」にかける期待は大きい。「Windows、Linuxに並んで、cybozuをデファクトスタンダードにしたい」。国内で実績を上げて、今後3年以内にあらゆる要求に応えられる技術と販売体制を整え、並行して世界制覇に再挑戦する。「kintone」のコンセプトは、「チームワークプラットフォーム」だ。全社やグループでの利用から目的・目標をもつ「チーム」のためのサービスになった。販売会社にとっては、見込み客となる先が大幅に増えるとともに、従来あり得なかった提案ができることを意味している。(谷畑良胤)
想定外だ──。サイボウズが2011年に提供開始した業務アプリケーション構築クラウド「kintone」が、同社の青野慶久社長の当初の見込みを越えて、早くも独り立ちし始めている。青野社長は、当初、中堅・中小企業(SMB)で主に普及するだろうとみていたが、超のつく大企業にも使われて基盤になるなど、うれしい誤算に顔をほころばせる。
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