『週刊BCN』の連載「営業マネージャーたちの最前線」では、IT企業で奮闘している営業リーダーに、営業現場での様子やマネージャーとしての工夫などを語っていただいています。ここでは、紙面では掲載しきれなかったエピソードをご紹介します。 *「営業マネージャーたちの最前線」本編は『週刊BCN』1505号(11月11日号)に掲載しています。ぜひご覧ください。

[語る人]

●profile..........
玉川 道洋(たまがわ みちひろ)
 大阪府出身。1999年、大学を卒業して日立系の販社に入社。システムインテグレーション(SI)の営業に携わった。2005年、関電システムソリューションズに転職し、CRM(顧客管理)ツールなどを商材に、大手・中堅企業向け営業に従事。そのかたわら、会社の事業戦略を立案するタスクチームの中心リーダーとして活動。13年3月から、東京事業部のメンバーとして、首都圏ビジネスの営業を担当。

●所属..........
関電システムソリューションズ
ソリューション事業本部
東京事業部 営業グループ
課長

●担当する商材.......... CRMなどの業務アプリケーション
●訪問するお客様.......... 首都圏の大手・中堅企業とパートナー
●掲げるミッション.......... 首都圏での業種戦略を成功に導く
●やり甲斐.......... 首都圏ビジネスを大きく伸ばすという高い目標に挑戦すること
●部下を率いるコツ.......... 前向きに明るくリードする
●リードする部下.......... 直属2人、ワーキンググループで10人

 私が率いるチームは、首都圏でのCRM(顧客関係管理システム)事業の拡大に取り組んでいる。現在のミッションは、新規顧客の開拓だ。本社のある大阪には、もともと人間関係を大切にする商習慣があるので、新たなお客様の懐には比較的らくに入ることができる。しかし、最終的に「お金がない」ということで、受注には至らない……。そんなことを何度も経験してきた。

 これに対して、今年3月からの東京は、競合他社の数が非常に多くて、入り口を突破することがなかなか大変だ。それでもこの半年の活動から、いったんお客様の懐に入ったら、案件を受注するチャンスが豊富だということがわかった。つまり、工夫して入り口さえを突破すれば、商機は必ずあるということ。そう実感した私は、新規顧客の開拓をチームのメンバーに指示した。

 しかし、首都圏でのビジネスにまだ不慣れな部下たちは、当然ながら、会社が掲げている方針に対していろいろな不安や疑問を抱いている。日頃、新規顧客の開拓に苦労するなか、「何のためにやるのか」「この方針で本当にいいのか」と、私に答えを求めてくる。そのとき、彼らに言うのは、「今すぐ成果が出なくても、3~5年後をイメージして、将来のビジネスづくりを目指してほしい」ということだ。商機があることを強調しながら、数年後のあるべき姿を描いて、それに向けて全力で動くように励ましている。

 営業の現場担当と営業マネージャーとしての私に大きな影響を与えたのは、若いときの経験と出会いだ。

 まず、経験。メーカー系のシステム構築の会社だった前職で、私が担当する案件でトラブルが発生し、お客様に対応を要求された。ところが、私は「いや、それはメーカーの領域ですから」と言いわけをして、対応から逃げた。当然、お客様からは相当のお叱りを受けた。「あなたの会社とつき合う価値はいったい何か」と厳しく言われ、それをきっかけに営業としての考えを根本から見直した。「お客様の喜ぶ顔を見る」ことを目指し、常にお客様目線を忘れないことを心がけるようにしている。いまは、この失敗を事例として出しながら、部下にもお客様目線の重要性を説いている。

 そして出会い。若い頃に、「思うように提案を進めればいい。そうすると、仮に失敗したとしても、自分が成長する」というスタンスの上司がいた。部下をもつようになった今も、その上司の姿勢を見習って、部下のそれぞれの考えやアイデアをなるべく尊重するマネジメントを追求している。裏方として、部下が成果を上げやすいフィールドをつくり、売り上げの拡大につなげる。そんなことができる環境を与えてもらった今、営業は本当に天職だと思っている。