現実とフィクションの区別がつかなくなりました。1966年に静岡県で一家が殺害されたいわゆる袴田事件。3月27日、死刑が確定した袴田巌さんが東京拘置所から釈放された新聞記事を見たとき、デジャビュを覚えました。ねつ造されたと疑われる証拠を踏まえた有罪判決と、長年の刑務所生活――。記事の内容が、先日読んだ貫井徳郎『灰色の虹』のストーリーに似ていて、一瞬、現実感を失いました。
現実はさておき、『灰色の虹』では、主人公の誤った逮捕・有罪判決に至る発端はベテラン刑事の「勘」でした。「こいつが犯人」と直感で決め込んで、逮捕状を取るために証拠をでっち上げます。悪意をもって、無罪と知っていながら濡れ衣を着せるのではなく、「オレは絶対正しい」と自分の勘を過信し、罪を犯していない主人公を刑務所に送るのです。
ベテランであればあるほど、勘を信じて疑わない。殺人事件は極端な例ですが、発注量を決めたり新商品を企画したりなど、企業でも、データなどの確かな裏づけをとることなく、勘で重要な判断をすることは多くあります。
いま、多くの企業では経営層の世代交代が進み、少しずつ「データ経営」に対するマインドが高まっているようにみえます。情報分析ツールをもつITベンダーは、提案のチャンスです。
作業服専門店チェーンのワークマンは、「データで決定する経営」に取り組んでいます。ITソリューションを導入し、勘による誤った判断をなくし、データ活用を事業の拡大につなげようとしているのです。記事では、この事例の詳細を紹介しています。(ゼンフ ミシャ)
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<THE決断!ユーザーのIT導入プロセスを追う>発注の「勘」をシステム化 ビッグデータで流通経路を再設計メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.4.2」より