今日のひとことWeb版

変わる中国市場

2014/09/09 15:26

 BCNが報道機関として上海支局を開設してから、はや5か月。記者ミーティングの場で内々に披露される取材の裏話などを聞くと、現地で日々取材する記者がつかむ情報は、出張取材で得られる情報とは根本的に違うということを、今さらながら痛感します。

 中国が、日本のITベンダーにとって有望な市場なのかという視点でいえば、必ずしも明るいニュースばかりとは限りません。例えば、日本企業の対中投資減は、ITベンダーのビジネスを直撃するマイナス要因でしょう。しかし、ものごとには表と裏があるのが常。日系企業に食い込んで得ていたビジネスとは根本的に異なる種類のビジネスチャンスが拡大しているとみることもできます。

 『週刊BCN』の「視点」に原稿を寄せてくださる増田辰弘さんは、日本企業の対中投資減の背景にあるのは「政治摩擦だけでなく、中国が経済力をつけ、低コストで労働力を確保できる製造拠点や物流拠点としての役割を終えようとしていることが影響している」と指摘します。もはや中国は、先進技術・サービスの一大市場として、無視できない存在になっているということです。

 日本のITベンダーに、「安かろう悪かろう」をベースに、独特な商慣習が支配する難しい市場だという思い込みがあるとすれば、少し古くさく、もったいないように思います。現在の中国市場には、自社の強みを生かして中国市場のニーズに合った付加価値を提供できれば、収益性の高いビジネスを展開できる可能性がありそうです。(本多和幸)

【記事はこちら】
視点 ここは上海、極楽の湯
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.9.9」より
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