アップルが販売している「Apple SIM」は、複数の携帯電話会社に対応したSIMカードで、店舗に足を運ぶことなく画面上でデータ通信契約を結ぶことができます。例えば海外に出かけたとき、現地でSIMカードを購入しなくても、国際ローミングよりも大幅に安い地元携帯電話会社のサービスを簡単に利用できるのがメリットです。マイクロソフトも同様のサービスの提供を準備しているとみられており、SIMカードの入れ替えではなく、ソフトウェア上の操作で携帯電話回線を切り替える仕組みが徐々に浸透すると考えられます。
仮想化技術によってもたらされたクラウドによって、ハードウェアを意識せずにアプリケーションの実行環境を柔軟に調達できる時代となりましたが、モバイルネットワークも、どのSIMカードが入っているかにとらわれることなく、必要に応じて複数の事業者の回線を使いわけていけるようになるのかもしれません。
国内でも、SIMカードやサービス体系は回線事業者ごとに分かれているものの、1社で複数の回線事業者に対応した「マルチキャリアMVNO」サービスが始まっています。現在はまだ技術的に難しい部分もありますが、将来、いつでも好きな回線に切り替えられるサービスへと発展していったら、モバイルネットワークのさらに効率的な使い方が実現するのではないでしょうか。(日高彰)
【記事はこちら】
日立ソリューションズ、ケイ・オプティコムのマルチキャリアMVNOを支援 メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.1.20」より