昨年ごろからIT市場でさかんに叫ばれているキーワードの一つ「デジタル・トランスフォーメーション」。ITを駆使して新しいビジネスモデルや、新しい企業のあり方を体現し、顧客との関係性を強化するとともに、競合に対する優位性を確立するといった意味で使われることが多いようです。しかし、米IBMのジニー(バージニア)・ロメッティCEOは先週開催したパートナー向けイベントの講演で「皆がデジタルになったら、だれが商社になるのか?」と問いかけました。ITの重要性は揺るがないものの、誰もがデジタル・トランスフォーメーションを目指す今、必ずしもデジタル化自体は競争力にならないというのです。
ロメッティCEOは、「Watson」をはじめとする「コグニティブ・コンピューティング」をいち早く導入することがビジネスの勝利につながる、と説きます。コグニティブ・コンピューティングが、「アナリティクス」や「AI」と呼ばれている技術に対して質的に異なるほどの差異を生み出すのかはまだわかりませんが、世の中のトレンドを追うのではなく、「トレンドの先」を見越したメッセージを出していくというアグレッシブな姿勢は深く印象に残りました。(日高彰)
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IBM PWLC 2016、ロメッティCEO「デジタル変革は必然、コグニティブでの差異化がカギ」 メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.2.24」より