近年、スモールビジネス向け業務アプリケーションの領域では、クラウドネイティブな製品・サービスを提供するスタートアップが続々と登場し、市場に大きな刺激を与えています。そんな注目のスタートアップの一社であったクラウド請求書管理のMisocaが、既存の業務ソフトベンダーの代表格である弥生に買収されました。ただし、Misocaの豊吉隆一郎代表取締役は、今後も同社の経営の舵取りを担い、Misocaブランドも継続する予定です。

 弥生のライバルであるクラウド会計のfreeeやマネーフォワードなどは、数十億円という巨額の資金調達を実現し、さらなる成長に向けてR&Dなどへの積極的な投資を続けています。一方で、スモールビジネス向けとはいえ、企業の基幹業務を支えるアプリケーションには、製品・サービス提供の継続性が強く求められるのも確か。ユーザーがアプリケーションを選ぶ際に、ベンダー側のビジネスモデルが持続可能なものなのかどうか考えるケースも少なくないのではと感じます。

 Misocaのサービスはフリーミアムモデルであるということもあって、現時点では収支を均衡させるための売上高にはなっていません。弥生の岡本浩一郎社長は、「Misocaが単独で事業を継続していたとしても、将来的に利益を上げることは可能だっただろう」と話すものの、弥生のビジネスモデルの全体最適を進めた結果として、Misoca事業単独では利益を出す必要がないという判断をする可能性も示唆しています。Misocaとしては、収支均衡を急ぐ必要がなくなり、サービス開発に注力できる体制になったわけですが、弥生の後ろ盾を得たことでサービスそのものの持続可能性が高まったともいえ、ユーザーにとっても歓迎すべきことかもしれません。(本多和幸)

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弥生 Misoca買収の先に見据える新市場 SMB向けEDIの世界をつくる
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.3.29」より