会社員必読の出世ノウハウ

 年齢を重ねるほど、人は小言が多くなる。人生経験が、そうさせるのだろう。未熟な若者をみると、アドバイスという名の小言を口にせずにはいられない。悪気はなく、むしろ親切心がそうさせるのだが、若者はまったく聞く耳をもたない。若者にとっては、ただの“めんどうくさい人”というわけだ。

 本書の前書きでこう書いてある。「五十歳を超えたあたりからしきりに『めんどうくさい、めんどうくさい』と言われるようになりました。『めんどうくさい』は加齢現象なのでしょうか(いや、私個人のケースでしょう)」。やはり、原因は小言にあると推測する。

 とはいえ、めんどうくさい人も多種多様。むしろ、著者は小言ならかわいいものだと思えるような経験を積んできている。本書の著者は、噺家の立川談慶である。師匠は立川談志。想像し得るめんどうくさい人のなかでも、最高峰の人が師匠だということに異論はあるまい。ただ、重要なのは、そのめんどうくさい人に従った前座時代があったからこそ、今の立川談慶があるということだ。

 相手が立川談志ならいいが、学ぶことが何もないめんどうくさい人のほうが多いのではないか。そこで、本書では落語に出てくる与太郎や一八というキャラから学ぶ対処方法を紹介。そこでは、あえてスキをつくる、ゴマをするといったノウハウが出てくる。それが後半のビジネスで活用できる対処方法へと発展。めんどうくさい人を避けるのではなく、受け入れる。究極の出世ノウハウがここにある。(亭)

『「めんどうくさい人」接し方、かわし方』
立川談慶 著
PHP文庫 刊(680円+税)