BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『「女性活躍」に翻弄される人びと』

2018/09/26 09:00

週刊BCN 2018年09月17日vol.1743掲載



女性の心の襞(ひだ)に迫る本格ルポ

 「女性活躍推進」の画一的な流れに警鐘を鳴らすのが本書である。“活躍”の中身が、ややもすれば企業の女性幹部への登用といった“出世”に偏重することに、著者の奥田祥子氏は危機感を抱く。

 奥田氏は20年近くにわたって、400人余りの男女にインタビュー。同一人物が時間の経過とともに価値観が変わる様子も追ってきた。

 このインタビューを通じて、女性の活躍の場が“出世”だけではないことを浮き彫りにしている。子育てや家庭の切り盛り、地域活動への参加、夫が出世できるよう支える内助の功に生きがいを感じる女性が少なからぬ割合で存在するのだ。また、出世の道を選ばず、家事や子育てをしたがる男性が女性から一概に評価されない現実も横たわる。

 ルポルタージュ形式で進んでいく描写は生々しく、官能小説も顔負けの迫力で、男女の関係に踏み込んでいく。女性の心の襞(ひだ)に肉薄する奥田氏渾身の一冊。(寶)
 

『「女性活躍」に翻弄される人びと』
奥田祥子 著
光文社新書 刊(820円+税)
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