BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか? 「しぶとく生き残るあの店」にはワケがある』

2025/06/06 09:00

週刊BCN 2025年06月02日vol.2061掲載

客足の少ない店が存続する理由

 以前住んでいた街には個人経営のカフェや小料理屋、雑貨屋などが充実していた。どの店も個性的で興味深かったが、特に私が目を引かれたのはアンティークの食器やガラス製品などを取り扱っている店だ。通りがかるたび店のガラス越しに見える品物に見とれていたが、店内に人が入っているのはあまり見たことがない。一体どうやって商売を成り立たせているのか疑問に思ったことがある。

 客が少なく見える店、もうけが出ないのではないかと思えるビジネスに出会う経験は誰しもあるだろう。本書では、「もうけ」に関わる身近な疑問に対し、例も交えながらわかりやすく解説している。

 例えば、「客がこなくてもつぶれない」店として駄菓子屋を挙げる。著者によると駄菓子屋は、自宅を店にしている場合が多く家賃が必要ないことや、個人や家族での経営が主流であり、店を存続するための固定費が大きくならないことなどから、経営を続けられるケースがあるそうだ。

 繁盛しているように見えなくとも、ビジネスとして成立しているからには何か理由がある。自分が住む街に根付く、さまざまな店のビジネスのあり方に思いをはせたくなった。(留)
 


『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?
 「しぶとく生き残るあの店」にはワケがある』
坂口孝則 著 
SBクリエイティブ 刊 1045円(税込)
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