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記録型DVDの販売動向 リコーが急台頭、4月には単独トップに

2002/05/27 16:51

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

 記録型DVDで、4月にリコーが単独トップに躍り出た。4月に発売した+R機能ももったDVD+RW/+Rの「MP5125A」が絶好調なため。3月の11.4%から4月には35.6%に急上昇した。ただし、実売台数は3月並みを維持、店頭では物不足が深刻化している。松下が首位の座を譲り渡したのは、記録型DVDの登場以来初めてとなる。4月における方式別のシェアを見ると、DVD+RW/+Rが43.1%(DVD+RW含む)、DVD-RAM/Rが39.4%(DVD-RAM含む)、DVD-R/RWが17.5%となった。


松下、スーパーコンボがカギ

 記録型DVDは今年に入って絶好調の伸びを示している。対前年同月比伸び率は、1月が277.5%、2月は259%、3月は214.9%、そして4月は404.2%となった。1-4月累計では、台数が280.7%、金額が257.9%で、平均単価は4万5367円で単価の下落率は8.1%である。パソコン本体をはじめ、主力周辺機器が20-30%減と不振を続けるなか、LCDと並んで大きな伸びを示しており、数少ない成長商品となっている。DVD市場の大きな注目点は、方式別による主導権争いの行方。松下電器などのDVD-RAM、パイオニアなどのDVD-RW、リコーなどのDVD+RWの3方式が対立している。

 当初は、何度でも書き換えられるリライタブル機能が焦点となっていたが、パイオニアが1回のみ書き込み可能な機能も標準搭載したDVD-R/RW機を商品化して以来、R機能の搭載が大きな焦点となり、松下電器もDVD-RAM/R機を商品化し、遅れたリコー陣営の動向が注目を集めていた。4月に登場したリコーの「MP5125A」は、R機能を搭載したDVD+RW/+R機だが、このモデルが絶好調の立ち上がりを示しているもの。図は、記録型DVDの方式別シェア推移。アイ・オー・デー機器、ロジテックなどのサードパーティは、ドライブメーカーからドライブを購入、自社ブランドで販売しているが、そうしたサードパーティ分も含んでいる。

 これを見れば分かるとおり、R機能をもたないDVD-RAM、DVD+RWはすでに衰退期に入り、在庫処理が終われば消えてゆくことになりそうだ。こうしたR機能をもたないモデルも含めた陣営別シェアは、4月には松下陣営が43.1%、リコー陣営が39.4%、パイオニア陣営が17.5%となる。3月には松下陣営が63.4%、リコー陣営が16.6%、パイオニア陣営が20%だっただけに、リコー陣営の急台頭と松下陣営の凋落が目立つ。しかしこの傾向が今後も続くかと言えば、そう即断はできない。その理由は、松下電器の場合、民生用のDVDプレイヤーの大増産に取り組んでいる最中で、DVDドライブの増産余力がなかったことが大きい。店頭ではDVD-RAM/Rは極端な品不足状態が続いており、需要はあるにもかかわらず供給が間に合わなかった。

 また、同社は次期モデルとして、これまで唯一の弱点とされてきたCD-R/RW機能も搭載したモデルを準備中で、このモデルで勝負に出てくるとの見方が強い。DVD+RW/+R、DVD-R/RWとも、CD-R/RW機能はもっているので、3陣営が真の意味で同じ土俵で戦い、実力が試されるのは松下のスーパーコンボ登場後になりそうだ。なお、DVD+RW/+R陣営にとっては、HPとコンパックの統合が成立したことは大きな強みになりそうだ。HPは同陣営のアライアンスメンバーであり、当然DVD+RW/+Rを搭載してくると見られている。一方、DVD-RAM/RとDVD-R/RW陣営は、民生分野で激しいシェア争いを展開、市場自体は急拡大している。 (石井成樹)
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