店頭流通

T・ZONE. 再建計画を発表 不採算店の閉鎖と人員削減へ

2002/05/27 16:51

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

 T・ZONE.は、経営再建計画を発表した。再建の柱は、①自作パソコン用の部品とパソコン用アニメソフトの販売に特化、②新規出店の凍結、③人員削減を含む徹底的なコスト削減――の3つ。最盛期には20店舗以上あった同社だが、不採算店を閉鎖し、3月末時点で4店舗に絞り込んだ。また、同じく赤字店舗だった秋葉原のT・ZONE.ミナミ(本店)も5月末で閉店、日本橋店(大阪)も6月9日に閉店する。現在218人(最盛期には500人以上)の社員が残っているが、今後は「3店舗体制に相応しい人数に減らす」(安井淳一郎会長=写真)と、大幅な人員削減を行う。

  「利益が出ている店だけ残した」――。T・ZONE.の親会社であるヴィーナスファンド・ホールディングスの安井社長(T・ZONE.会長を兼任)は、「まずは黒字を出し、上場を維持する」と、経営の健全化に強い意欲を示した。今年度(03年3月期)上期は店舗整理にともなう赤字を出すが、下期は黒字にする。T・ZONE.は、CSK傘下だった今年3月時点で200億円を超える有利子負債があった。だが、ヴィーナスファンドが約4億8000万円(株価5円で9639万株を買い付け)で買い取る時点で、CSKがすべてのT・ZONE.の有利子負債を肩代わりした。これにより、T・ZONE.は、有利子負債がない状態から再出発する。

 新体制では、すべての不採算店舗を閉店する。また、これまで年商180億円(02年3月期実績)あまりを売り上げてきた半導体卸事業など法人向けビジネスから撤退する。この結果、残った3店舗分の売り上げがすべての収益源となる。3店舗にふさわしい人数に合わせるため、現在218人の社員も半減させる。T・ZONE.最盛期には20店舗、年商約1000億円、社員500人体制だった。今年度は、3店舗で年商128億円となる見通し。最後まで残った不採算店舗のT・ZONE.ミナミ(本店)は、5月末に閉店し、代わりに2フロア計693㎡の新本店「T・ZONE.アキバプレース」を開店する。これによって、店舗の賃借料を年間6億円節減する。さらにポイントカードをやめることで、情報システム(IBM製メインフレーム)を取り止め、PCサーバーに変える。情報システムの見直しで、年間維持費は4億円から1億円に軽減する。

 T・ZONE.アキバプレースは、今年度売上22億円、経常利益5000万円を目指す。秋葉原には、本店のほかに自作パソコン専門店「PC DIY ショップ」(年商40億円)がある。吉祥寺(東京)の店舗については、様子を見ながら撤退か継続かを決める。横山隆俊社長は、「秋葉原のパソコン店は約170店舗。このうち約120店舗が当社と同じ自作パソコン商品を取り扱う。他店の平均年商が10-15億円であることを考えれば、秋葉原全体で少なくとも1200-1800億円程度の市場規模がある。将来的には、このうちT・ZONE.の店舗で200-300億円分のシェアを獲る」と、秋葉原自作パソコン市場におけるシェア拡大に力を入れる。安井会長は、「他店にはない海外直輸入品、オリジナル商品、上級者向けの“こだわり”パソコンを独自ブランドで開発するなどで、粗利率10-15%の収益性の高いビジネスを展開する。粗利率数%しかない一般利用者向けのパソコンの取り扱いは、原則としてやめる。上級者向けの品揃えでは、競合である九十九電機やソフマップ、フリーウェイに負けない自信がある」と話す。
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外部リンク

http://www.tzone.com/