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シリコンオーディオの販売動向 混戦状態のなかアイ・オーがトップに

2002/06/03 16:51

週刊BCN 2002年06月03日vol.943掲載

 シリコンオーディオ市場は、各ベンダーが熾烈なシェア争いを繰り広げている。02年4月は、アイ・オー・データ機器がベンダー別販売台数シェアでトップを獲得した。同社の首位は昨年9月以来のこと。今年4月におけるシリコンオーディオ市場は、台数ベースで前年割れしているものの、金額ベースで対前年同期比を上回っており、収益性が高い製品として注目を集めている。混戦状態のシリコンオーディオ市場で勝ち抜くには、製品のラインアップを拡充し、幅広いユーザー層に対応することがカギだ。

ラインアップ拡充が決め手



 図は、最近6か月間におけるシリコンオーディオ市場のベンダー別販売台数シェアを表したもの。シリコンオーディオ市場は、混戦が続いている状況だ。昨年11月は、アップルがシリコンオーディオ市場に参入し、トップシェアを獲得した。同社は年末商戦本番の12月も首位に君臨。だが、今年に入ってからは、ソニックブルーが18.5%のシェアでトップ。2月には、エス・ピー・エスが64MB内蔵のカセット型MP3プレーヤー「FPS-2000GTR」シリーズの平均単価を5000円前後としたことにより、25.8%のシェアでトップとなった。

 今年3月には、「Intel Pocket Concert Audio Player」の生産終了にともない、同製品の価格が1万円を下回ることで需要が高まり、インテルが39.6%のシェアでトップとなった。こうした激しいシェア争いのなかで、今年4月にトップシェアを獲得したのはアイ・オー・データ機器。23.3%のシェアだった。同社が首位となったのは昨年9月以来。同社が首位となたのは、ラインアップが充実していることが大きい。超小型のMP3プレーヤー「HyperHyde Exrouge」を3機種、WMA、MP3、AACの3方式に対応したハイブリッド・デジタル・オーディオプレーヤー「HyperHyde Hyblitz」を1機種、CD-R/RWで長時間のMP3再生を実現した「HyperHyde Loops」を2機種、合わせて6機種のラインアップを揃えている。機種別販売台数シェアでは、上位10機種以内に3機種がランクインしている状況だ。

 今年4月における機種別販売台数シェアでトップを獲得したのは、9.9%でアップルの「iPod M8709J/A」。また、アイ・オー・データ機器やアップル以外の製品でも、アドテックの「MPIO AD-DMG128」やソニックブルーの「RioVolt SP250」、ソニーの「D-CJ01」などが人気を集めている。メーカーのシェア争いが今後も続きそうだ。

 最近6か月間におけるシリコンオーディオ市場の対前年同月比をみると、昨年11月が台数ベースで244%増、金額ベースで383%増、12月が54%増(台数)、86%増(金額)。今年に入り、1月が51%増(台数)、52%増(金額)、2月が87%増(台数)、49%増(金額)、3月が81%増(台数)、59%増(金額)と台数、金額ともに拡大。4月は台数ベースが14%減と前年割れしたものの、金額ベースが2%増。

 パソコン本体が台数ベース、金額ベースとも前年割れしているなか、シリコンオーディオ市場は、好調な売れ行きをみせている。平均単価は、昨年11月が2万6900円前後に対し、今年4月が2万5000円前後とほとんど値崩れがない。今後は、ADSL加入者が増えることにより、シリコンオーディオの購入者増も期待できる。販売店も、ユーザーが気軽に購入し、収益性が高い製品として注目している。メーカーがシェアを拡大するには、シリコンオーディオの初心者層や中級者層、上級者層に適した製品を開発し、ラインアップの拡充を図ることがシェア拡大の決め手となる。 (佐相彰彦)
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