店頭流通

ラオックス ザ・コン、リニューアルから1年

2002/10/28 18:45

週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載

 昨年10月26日、SOHO向けという新コンセプトでリニューアルしたラオックス ザ・コンピュータ館が、リニューアルから1年を迎えた。

法人向けで“店舗ならでは”を訴求

 “従来の店舗では取り込みにくかった、SOHO、中小企業を顧客にする”とのコンセプトによるリニューアルだったが、木村勝寛店長は、「この1年は、当店に限らずコンピュータ市場全般が苦しかった時期。残念ながら、その影響をもろに受けることになった」と、かなり苦戦を強いられたという。

 法人営業については、見積もりから顧客企業側が稟議を通すまでに時間がかかったり、決済についても売り掛けが前提となることから与信のための時間がかかるといった事実に直面。従来の販売店のビジネスモデルからの転換を求められる場面もあった。

 ただし、既存の売り切りビジネスとは異なる顧客を得る機会となっていることも事実。 東北の回転寿司店から、寿司店にインターネットコーナーを設けるという案件が舞い込んだり、中古自動車の販売会社からウェブサイトの立ち上げ依頼が来るなど、徐々にビジネス案件が蓄積されつつある。

 法人営業は、特定企業の色が濃くなるのが常だが、「店舗という形態から、取り扱いメーカーに偏りがなく、提案の幅が広いという印象をもってもらうことができた」と、店舗での法人向けビジネスならではの評価も出てきている。

 売場構成については、スタート時点では6階にあったセミナー専用スペースを今年8月下旬にリニューアルし、ハードウェア販売スペースとした。セミナーによるビジネスユーザーの集客が狙いだったが、「セミナーの種類が多すぎて、自分の会社に関係がないものが多いといった声が多く、集客しにくくなっていた。ハード販売スペースを増やすことで、ハードを売りながらソリューションの依頼を引き出すという手法とする方がメリットが大きい」という。

 ビジネスIT支援フロアについても、従来に比べ細長いレイアウトで、販売員と顧客の距離を縮める、相談をしやすくするなどの工夫を行っている。こうした施策により、店舗自身をSOHO、中小企業がソリューションを依頼できると認知してもらうことはもちろん、「店頭で買い物をしてくれた顧客に、ハードだけでなく、システムを注文できる店舗との認識をもってもらう」という。

 「1年ではリニューアルの是非を問うには時間が足りない。通常の店舗の評価と比較するのではなく、あと1年かけて、SOHOおよび中小企業向けビジネスを店舗形態で行うことの評価を行っていきたい」としている。
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