店頭市場ピックアップ

複合プリンタの市場動向 印刷性能の向上で普及に期待

2003/04/07 16:51

週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載

 プリンタメーカー各社が、家庭での利用を想定した低価格製品を投入したことで、コピー、スキャナ、ファクシミリ(FAX)などの機能を備えた複合プリンタの販売量が店頭でも増加している。だが、店頭での販売量が最も多い単機能インクジェットプリンタと比較すると、複合機に優位な販売金額にしても、半分にも満たない状況だ。この要因となっているのが、これまで販売されてきた複合機のプリンタ機能の不十分さ。

年末にはインクジェットに迫る規模に

 ある販売店では、昨年末時点では、「写真入りの年賀状を印刷したいというユーザーには複合機を勧めていなかった」という。理由は、「単機能のプリンタと比べると、複合機に搭載されているプリンタエンジンの質が低い」ためだった。「現在は過渡期であり、プリンタとしての性能が向上するのはこれから」と、2003年は複合機市場が大きく飛躍する変わり目の年だと位置づける。

 この販売店の意見を裏づけるように、メーカー各社の複合機に対する注力度合いが大きく変わりつつある。これまでトップシェアだった日本ヒューレット・パッカード(日本HP)に対し、キヤノンは3月下旬に発売した新製品が好調で、急速にシェアを伸ばしているが、「PIXUS MP730」と「PIXUS MP700」は昨年10月に発売した「PIXUS 850i」と同等のエンジンを採用。プリンタとしての性能向上を実現した。さらに今秋には、各社がプリンタとしての性能を大幅に向上させた新製品を投入する見込みで、今年末には複合機の販売金額は、インクジェットプリンタに迫るものとなりそうだ。
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