秋葉原物語

<秋葉原物語>[第1部 ポテンシャル]7.年末の主役は薄型テレビ

2004/12/13 16:51

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 2005年3月完成の「秋葉原ダイビル」の建設をはじめとして、JR秋葉原駅前周辺の都市再開発が着々と進んでいるなか、秋葉原電気街では12月に入り、パソコン専門店や家電量販店がクリスマス商戦や年末商戦に向けた準備に取りかかり、すっかり慌しい年末の風情を醸し出している。

 冬の売れ筋といえば、家電量販店では例年ならば季節商品である暖房器具。ところが今年は少し様相が違う。「今年は、何といっても薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV(音響・映像)機器だろう」と多くのショップが言う。これまでパソコンを中心に販売していたショップでも冬商戦開幕の10月以降、デジタルAV機器を扱うようになるなど、パソコン専門店であろうと家電量販店であろうと今年の秋葉原は「デジタル家電」一色だ。

 10月22日にリニューアルしたラオックスの旗艦店「ザ・コンピュータ館」では、1階フロアで薄型テレビやDVDレコーダーを展示。これまでのビジネスマンを中心としたパソコン中級者層以上に向けた店舗作りを一新し、パソコンに馴染みの薄い初級者でも気軽に来店できるように工夫した。ソフマップは、電気街入り口近くの中央通り沿いに店を構える「東京・秋葉原1号店Chicagoパソコン・デジタル館」のリニューアルをこのほど完了。1フロアの1コーナーだけだったデジタルAV機器の売り場を2階のフロア全体に広げた。しかも、DVDレコーダーを中心に同社が得意とする中古デジタルAV機器の品揃えを充実させたのが特徴だ。

 組立パソコン用パーツ専門店は、オンラインゲームでも高精細の映像を求める層をユーザーとして獲得しようと躍起になっている。各メーカーのグラフィックスボードを搭載したパソコンを展示し、オンラインゲームで遊ぶ際の動作や画質などが一目で分かるデモコーナーを設けているショップが多い。ヤマギワソフト館やメッセサンオー本店などのソフト専門店では、DVDレコーダーの需要が増えていることから、ソフトの販売増に力を注いでいる。

 秋葉原に軒を連ねるショップや量販店は「アテネオリンピックが終わって、10月以降の販売は落ち着いているが、デジタル家電のポテンシャルはまだまだ高い」と、今年最後の売り込みに熱を入れている。(佐相彰彦)
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