拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>16.高機能携帯電話(下)

2004/12/20 16:51

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 今年7月、NTTドコモが「おサイフケータイ」のキャッチフレーズとともに、ソニーの非接触IC技術であるFeliCa(フェリカ)を搭載した携帯電話端末の販売およびサービスを開始した。電子マネーや、会員証、チケットといったアプリケーションを、携帯電話上で提供することが可能になる、iモード以来の大型プラットフォームである。(田中大輔 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 FeliCaといえば、鉄道乗車券のSuica(スイカ、JR東日本)やICOCA(イコカ、JR西日本)、PiTaPa(ピタパ、スルッと関西)、電子マネーのEdy(エディ、ビットワレット)が代表的なアプリケーションである。

 他にも、会員証や社員証、家のカギ、電子チケットサービスなどにも利用されている。利用者には、従来の磁気カードなどと異なり、カードリーダにさっとかざすだけで利用できる簡便さが受け入れられている。

 また、サービスを提供している事業者からは、駆動部分がないことによるメンテナンスの簡便さや、処理速度の速さなどが評価されている。これまでは別々のプラスチックカードとして提供されていたこれらのアプリケーションを、今後は携帯電話ひとつにまとめて搭載することが可能になる。

 たとえば、ポイントカードを発行している企業にとって、利用者の財布にすでに他社のポイントカードや会員証が多数入っているためにスペースが足りず、持ち歩いてもらえない、という悩みはつきものであるが、それが携帯電話のメモリ上に載ることで、常に持ち歩いてもらえるようになる。つまり、顧客へのリーチが今まで以上に向上することが期待できる。

 現時点では、電子マネーと会員証、ポイントカードといったサービスが中心であるが、今後はマーケティングのツールとしても活用が期待される。

 FeliCaのメモリ領域の情報を読み書きするだけでなく、FeliCaの非接触通信を通して直接iアプリを起動したり、情報を送り込んだりすることも可能である。

 電子クーポンのようなサービスが俄然現実味を帯びてくるほか、パソコンでお店を探して、パソコンにつないだリーダライタから地図を携帯電話に転送する、といった利用方法も可能である。

 来年には、Suicaも携帯電話のFeliCaに対応し、それに前後してauもFeliCa搭載の携帯電話端末を市場に投入する。このタイミングを契機に、ユーザによるFeliCa機能の認知と利用率が急拡大すると予想され、それに伴い様々なサービスが提供されることになるだろう。
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