全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>58.東京都あきる野市(上)

2005/01/03 18:45

週刊BCN 2005年01月03日vol.1070掲載

 東京都の西部、八王子市の北に位置するあきる野市は、都心のように人口が集中していないため、東京郊外の中ではショップが密集する他の地域に比べ〝ショップ同士〟の競争は少ない。しかし強敵は存在する。家庭用品を一堂に揃えたホームセンターだ。

ホームセンターに対抗

 あきる野市では、ムラウチやノジマ、ベスト電器などが出店し、ムラウチが総合家電量販店、ノジマがパソコン専門店、ベスト電器が地域密着型のフランチャイジーとして住み分けており、それぞれが固定客を確保しているようだ。しかし、JR五日市線の秋川駅近くに店を構えるムラウチあきる野店では、「家電量販店との競争は少ない。しかし、ホームセンターとの競争が激しくなっている」と、あきる野店の店長である松村和正マネージャーはいう。

 ホームセンターでは照明器具や暖房器具など大型商材をはじめ、プリンタ用紙やファクシミリ用インクリボンなどの消耗品を低価格で販売している。そのため、ムラウチでは新規来店者に商品を購入してもらい、リピーターとして囲い込む策として、「消耗品の品揃えに関しては近くのホームセンターに負けない品揃え」で勝負している。

 松村マネージャーがあきる野店長に就任したのは2003年10月。96年3月のオープンでは、あきる野店の立ち上げに参画し、しばらく同店を離れた後に、再び配属された。あきる野店に戻ってきて感じたのは、あきる野市や昭島市などに出店したホームセンターが家電関連の商材を展示しているのを見て、「リピーターが減っていくことに加え、新規のお客さんを開拓できないと考えた」。実際、04年6月までは来店者数が月を追うごとに減少していった。そこで、消耗品の品揃えをホームセンターより増やすことはもちろん、「ムラウチには置いてないものはない、と意識させて来店回数を増やす」ことを目指した。

 店長就任から約1年が経過した04年12月の時点では、インクリボンや管球などの商品数を03年10月に比べ1・5倍に増やした。「洗濯機の取り替え用糸くずフィルターに関しては、全メーカーの商品を揃えている」そうだ。消耗品の充実により、1日平均の来店者数が平日で750人程度、土日で1200人以上。ようやく03年末と変わらない数値を取り戻した。

 04年度(05年3月期)の売上高は、前年度比2・3%減の6億5000万円を見込む。売上高は減少しているものの、粗利率が前年度の21%から22%に1ポイントアップ。「利益率の高い消耗品の売上構成比が伸び、粗利率が高まった」としている。(佐相彰彦)
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