全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>64.神奈川県厚木市(上)

2005/02/14 18:45

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

 神奈川県厚木市は、ヤマダ電機やコジマ、ノジマ、ラオックス、ソフマップ、ZOAなど、主要な家電量販店やパソコン専門店が出店、日本でも有数の激戦区だ。厚木市は、人口が22万人以上と神奈川県の中でも比較的多く、しかも同市を本拠地とする家電量販店やパソコン専門店がないことから、俄然マーケットシェア争いに拍車がかかる。各ショップとも知名度を上げることがリピーターを確保するカギになる。

ZOA、パーツで知名度を確立

 静岡県が本拠地のパソコン専門店、ZOAでは、厚木市に店を構える「ZOA 23」で家電量販店が真似できない専門的な接客、品揃え、サポートで着実にユーザーを増やしている。同店のオープンは99年。オープン当時からスタッフとして関わってきた福嶋賢史店長は、「最初は知名度がなく、来店者を増やすのに必死だった」と振り返る。

 当時は関東地区におけるZOAの出店が秋葉原電気街の「ZOA秋葉原店」1店のみだった。そのため、首都圏での知名度はとんどゼロ。地元のパソコンマニアは厚木市にZOAが出店したことを知っていたが、「価格や品揃えなどの点で、多くの組立パソコン用パーツ専門店がある秋葉原電気街を訪れるのが普通」だったという。当初、同店に来店するユーザーは、秋葉原電気街のさまざまなショップに足を運んだが品切れなどで欲しい商品が手に入らず、試しに寄ってみたというケースが多かったという。

 1度来店したユーザーをリピーターとして確保するため、「パーツに関しては電気街に負けない価格と品揃えで勝負する」ことをコンセプトとした。なかでも、価格面で基準にしたのがインターネット販売。「サイトの価格はリアルタイムで変化しており、秋葉原の価格よりも安い商材が多い」ことがその理由。週替わりで特価品やワゴンセールなどを実施するほか、ZOA秋葉原店との連携などで、「マニアが秋葉原に行かなくても手に入るように商材を揃えた」。

 これが功を奏し、来店者数は徐々に増加。今年1月末時点では、1日平均の来店者数が平日で1000人程度、土日で2500人強で推移する。「レジ通過数では、静岡の沼津本店を上回る時もある」と自信をみせる。

 厚木市では、パーツの販売に力を入れている量販店が少ない。そのため、品揃えで市内の競合店との差別化を図ったこともユーザーを増やした要因だ。パーツメーカーにとっては秋葉原電気街以外で拡販できるのは大きなメリット。この点から、同店では売れ筋商材を大量に仕入れることが可能となり、より低価格で販売できるというわけだ。(佐相彰彦)
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