全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>66.神奈川県厚木市(下)

2005/02/28 18:45

週刊BCN 2005年02月28日vol.1078掲載

 人口22万人以上の神奈川県厚木市では、60歳以上の高齢者が約20%を占める。パソコン専門店や家電量販店では、この年代をいかに固定客として獲得するかが売上高を伸ばすカギになる。30-40歳代の会社員というボリュームゾーンをユーザーとして確保することも必要だが、この年齢層を来店させるのは、安さをアピールするヤマダ電機など郊外型の家電量販店が得意としている。価格競争と一線を画したビジネスを行うとの考えから、厚木市では、大手の家電量販店が獲得し切れていない顧客層を対象に充実したサポートで差別化を図ろうとするショップが出てきている。

サポートが固定客増のカギに

 小田急線・本厚木駅前近くに出店しているラオックスの「厚木店」では、パソコンや無線LANの設定などの出張サポートを行っており、「60歳以上の来店者が多い」(飯田英樹店長)という。

 同店は、駅から徒歩5分という立地条件から、平日は会社員や大学生が来店する傾向が高い。地上1-3階で構成される売り場の1階部分では、デジタルカメラやデジタルオーディオ、電池などの消耗品を販売。「20-50歳代の来店者を増やす」(飯田店長)策を講じている。加えて、「現金還元なども行っている」(同)と、郊外の家電量販店の低価格攻勢に対抗している。

 ところが、市内に勤務する会社員や大学に通う学生などは厚木市に住んでいるとは限らない。そのため、休日に同店を訪れず、自宅近くの郊外型量販店に流れてしまう可能性が高いという。値引きなど安売りを行っても、「駅前は駐車場があまりないので、ユーザーが車で訪れることは少ない」。そこで、サポートサービスをアピールし、郊外の量販店が囲い込んでいないユーザーの来店を煽っているわけだ。

 飯田店長は、「サポートの強化で、パソコンの販売がプラスで推移している」と自信をみせる。展示では、パソコンをメーカー別に分けるのではなく、高機能を追求した「ハイエンドモデル」、パソコン入門用の「エントリーモデル」、安い価格で提供している「お手軽モデル」などに分類していることも購入に結びついているようだ。

 最近では、「商品を持ち込んで修理を依頼する高齢者のお客さんが増えた」ことから、近く店内にサポート専門スタッフの配置を行う計画。これまで従業員が片手間で行っていた修理やソフトのトラブル対策を即日で完了する体制を整える。飯田店長は、「安さだけがユーザーを集める策ではない。充実したサポートもユーザーを増やす要因になる」と言い切る。(佐相彰彦)
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