秋葉原物語

<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]45.ヨドバシ開店に5000人超が行列

2005/09/26 16:51

週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載

 秋葉原駅前にそびえ建つヨドバシカメラ「マルチメディアAkiba」のオープン日となった9月16日。開店時間前には、いち早く入店しようと5000人以上が並んだ。オープン後は、約2万3800平方メートルという家電量販業界で国内最大の売り場面積をもつ店内が来店者で埋め尽くされるほどの賑わい。ヨドバシカメラの秋葉原進出は幸先の良いスタートを切った。

 オープン時間は当初、午前9時30分を予定。ところが、オープン前から店舗前の歩道が顧客で溢れかえったため、時間を30分早め午前9時に入り口を開けた。この繰り上げオープンでは、並んだ順番に配布した1500枚の整理券を持った来店客のみに絞る入場制限を実施。ヨドバシカメラは、「あまりに多くの人が店頭に並んだら、お客さん自身にも迷惑がかかるし、通行する人の妨げにもなってしまう。これを予想して整理券を用意していた」(ヨドバシカメラ関係者)という。当初予定していた9時30分には、再び入り口が開き、完全にオープン。午前10時前には、店内は多くの来店者でごった返した。

 ヨドバシカメラが顧客対象としているのはファミリー層だ。パソコンをはじめ、フィギュアやアニメなどの“マニア”が多い秋葉原地区の既存ユーザーとは対照的な来店者層を想定している。

 これは、「秋葉原にファミリーが訪れないというのは寂しい。秋葉原を誰でも気軽に訪れることができる街にしたい」(藤沢昭和社長)との意向からだ。足達信一店長は、「ヨドバシカメラならではの良さを出せば、お客さんにとっても来店しやすいショップになる」という。

 足達店長は、「マルチメディア錦糸町」、「マルチメディア川崎」の店長を務めた経験から、地域に合った店作りとは何かを模索してきた。「豊富な品揃えに加え、お客さんに合った接客を徹底する」と、ファミリーを中心に幅広い顧客層が来店するショップ作りを目指している。

 「誰でも気軽に訪れる店」をコンセプトにしたためか、開店初日はオープニングセール目当ての来店者以外にも、子供を連れた家族や女性などの来店も目立った。もちろん、“秋葉原ファン”の姿もあった。(佐相彰彦)
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