店頭流通

米ベルキン 新技術搭載の無線LAN発売 日本市場で年内3%のシェアに

2006/07/10 17:00

週刊BCN 2006年07月10日vol.1145掲載

 米ベルキン(チェット・ピプキンCEO)は、無線LAN機器「N1ワイヤレス」シリーズを8月末から、ディストリビュータのシネックス(関戸明夫社長)を通じて販売する。国内無線LAN市場は、バッファローなど大手メーカーが高いシェアをもっているが、次世代通信規格や低価格を売りにシェアを拡大する。家電量販店などで販売し、1か月平均で2000万円の売り上げを目指す。

 「N1ワイヤレス」シリーズで発売する製品は、ルータと無線LANカードなど。次世代通信規格「IEEE.802.11n」に準拠しているほか、複数アンテナで送受信できる「MIMO技術」を搭載。最大150Mbpsの伝送速度で複数のアンテナで送受信ができる。価格はルータが1万9800円、無線LANカードが1万2800円と低価格に設定した。

 米ベルキンのサム・リー・セールスマネージャーは、「N1ワイヤレスシリーズは、韓国や台湾、シンガポールなどで人気が高い。日本でも、新しい技術を採用したうえで低価格という利点を生かし拡販できる」という。

 無線LANの市場は国内メーカーが圧倒的なシェアを確保しているため、海外メーカーがシェアを獲得するのは難しい。しかし、シネックスの関戸社長は、「タイミングよく拡販に向けた仕掛けを実施していけば、確実に売れる」と、自信を見せる。N1ワイヤレスシリーズでは、主にパソコンメーカーと協力し、年末商戦などに向けて、家庭内ネットワークのデモコーナーをパソコン専門店や家電量販店に設置する。「国内無線LAN市場で米ベルキンのシェアを、今年末までに3%、来年末までに5%まで増やす」(シネックスの渡辺慎一・営業統括本部本部長)と話す。

 シネックスは、米ベルキンの総販売代理店として昨年5月からMIMO技術搭載の無線LANルータを発売。「昨年の年末商戦では、順調な売れ行きをみせた」(渡辺本部長)という。今年早々にはトラベルルータ(旅行用のルータ)も売り出した。「他メーカーが再度トラベルルータを市場に投入する状況も出ている。マーケットに好影響を与えた」(同)としている。トラベルルータ市場は、昨年まで需要が減少傾向にあり、参入メーカーが相次ぎ撤退していた。ところが、米ベルキンの製品がワイシャツの胸ポケットに入る超小型サイズであることから、シネックスでは持ち運びの利便性を訴えることで需要を掘り起こした。
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