大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>96.PC用フルセグチューナーは需要を喚起するか

2008/05/05 16:51

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

 デジタル放送推進協会(Dpa)は4月8日、「PC用デジタル放送チューナのガイドライン」を策定したと発表した。

■地デジ視聴が容易に

 地上デジタル放送を視聴するために必要なB-CASカードは、薄型テレビ本体、レコーダー本体、PC本体に内蔵したチューナーを発売するメーカーなどを対象に提供されてきた。そのため、チューナーを搭載していないPC本体で、地上デジタル放送を視聴したい場合には、USB接続が可能なワンセグチューナーを接続して視聴する手法に限定され、フルセグの視聴は不可能となっていた。

 だが、今回のガイドラインの策定によってB-CASカードがPC用周辺機器メーカーなどにも提供されることになり、PC用周辺機器として、地上デジタルチューナー単体やBS、CSのデジタルチューナー単体が発売されることになる。

 Dpaでは、「外付けするタイプのPC用フルセグ地上デジタル放送チューナーについても、コンテンツ保護実装ができるようにガイドラインを策定した。今回のガイドラインは、既存のPC本体と、外付けするタイプのフルセグ地上デジタル放送チューナーが、それぞれ独立した形で組み合わされた受信機の場合に、コンテンツ保護機能を実装するための指針(ガイドライン)を提示したものになる。チューナーの単体販売が可能となり、デジタル放送視聴者の利便性が大きく高まる」とみている。

 これを受けて、アイ・オー・データ機器、ピクセラ、バッファローが、相次いでPC用地デジチューナーを発売すると発表。今後、自作PCへの搭載や地デジチューナーを搭載していないPCへのフルセグチューナー搭載が可能になるのだ。

 PC周辺機器メーカーの間では、「予想よりも早く解禁時期を迎えた」との声が出ている。2011年までには解禁されるだろうという見方が一般的だったが、地デジ普及を促進したい業界側の思惑が、早期解禁を後押ししたようだ。

■HDCP対応が必須条件に

 だが、現時点ではいくつかの制限もある。例えば、コンテンツ保護のため、ビデオカードとディスプレイが、著作権保護技術のHDCPに対応している必要がある。しかし、主要メーカーのPCに標準搭載されているディスプレイでは、ほとんどがHDCP対応をしていないのが実状であり、自作PC用や、増設用ディスプレイでも、少なくとも昨年3月以降に購入したディスプレイに限られる。HDCP対応を意識してディスプレイを選択しているユーザーも決して多くはないはずだ。

 つまり、地デジチューナーを購入しても、いま所有しているPC環境で、地デジを最適な状況で視聴できるユーザーは極めて少ないことになる。ワンセグチューナーのように、一気に需要が拡大するとは言い難い状況にあるのだ。

 まずは数社から製品が投入されたが、HDCP対応ディスプレイとのセット販売の提案など、普及戦略を促進していく必要がある。

 1億2000万台といわれる国内のテレビを地デジ環境に置き換えることが求められるなかで、PCと地デジチューナーの組み合わせは切り札となる。予想よりも早い解禁を、早い需要立ち上がりへとつなげるための仕掛けが求められる。
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