大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>97.学生向けで成功したソフトバンクの次の一手

2008/05/19 18:44

週刊BCN 2008年05月19日vol.1235掲載

 ソフトバンクモバイルが、今年3月まで11か月連続で純増数ナンバーワンを記録した。

■シェア1位の意味は大きい

 「とくに、3月にトップシェアを獲得できたことは、特別な意味がある」と語るのは、富田克一取締役副社長。というのも、「年間の全契約数の約20%が3月に集中する。そこで負けていては意味がない」からだ。

 3月の純増数は、ソフトバンクモバイルの54万3900件に対して、auは54万3100件。わずか800件の差という熾烈な争いだった。

 「800件多くて1位なのか、800件少なくて2位なのかの違いは大きい。社員のモチベーションにも大きく影響する」

 切り札は、ホワイト学割だ。5月31日までの期間限定ながら、学生を対象にホワイトプランの月額利用料が3年間無料になるというもの。4月15日以降は、既存のホワイトプラン学生契約者も、ホワイト学割が利用できるようになったが、それまでは新規契約のみ。まさに、3月、4月の学生の買い換え促進期に、他社からの乗り換えを狙ったものだったといえる。学生市場では7%のシェアしかなかったソフトバンクにとっては、まさに開拓すべき市場。その拡大策の成功が、3月の純増シェアトップにつながった。「学生向けの施策は、今後もなにかしらの形で継続的に取り組むことになる」として、シェア拡大にさらに弾みをつける考えだ。

■法人向けは販売網の拡充で

 一方で、今後の課題といえるのが法人向け市場だろう。これは、NTTドコモ、auにとっても課題となっている市場でもある。

 携帯電話各社は、すでに法人向け営業組織の強化などに乗り出し、固定電話との連動提案や法人向け料金プランの提案、パートナーとの協業体制の確立といった施策を開始している。

 ソフトバンクモバイルも、ホワイトプランの意外な波及効果として、法人市場の獲得に成功しているようだが、今後はさらに戦略的な施策が求められるところだ。富田副社長は、「いくつかの施策があるなかで、パートナーを巻き込んだ体制づくりは急務」とみている。

 通話だけの提案だけでなく、インターネットマシン元年を謳う同社にとって、携帯電話をインターネット端末として進化させ、そこで、SaaS型アプリケーションを稼働させるという提案は、同社の方向性にも合致する。携帯電話を、ソリューション端末として活用するというわけだ。

 だが、こうした企業向けの販売を加速させるためには、法人向け販売ルートの拡充が必須条件となる。実は、富田副社長は、昨年暮れから1月にかけて、全国のNEC系販社を約40社ほど訪問している。富田副社長自身が、NEC出身ということもあり、旧知の間柄である販社が少なくない。

 また、ソフトバンクは、もともとソフト流通事業でスタートしており、現在でも全国のシステムインテグレータとの取引実績がある。これも法人向け販路拡大につながる。当然ながらソフトバンクテレコムのルートも活用されることになる。

 学生向けに続き、法人向け施策でどんな手を繰り出すのか。近いうちに明らかになるだろう。
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