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ソースネクスト、粗利大きい自社開発製品増やす

2008/06/09 18:45

週刊BCN 2008年06月09日vol.1238掲載

 更新料がゼロっていいんじゃない?――。東京・六本木の本社会議室。幹部を前にして松田憲幸社長は、さらりと口にした。2年前のことだ。

ある商品が偶然に売れることはあり得ない

―ソースネクスト 松田憲幸社長

 パッケージソフトベンダーは通常、ソフトを販売した後のバージョンアップやアップデートの更新料を得ている。重要な収益源だが、この仕組みを打ち壊そうというのだ。

 「コモディティ戦略」と銘打ち、5年前、1980円の格安パソコンソフトを出した。社長の発言に、会議室は「またか」と、驚きの空気に包まれた。更新料ゼロは前回を上回る大胆な価格戦略で、どこからどう反論したらいいかすら分からない。

 1980円ソフトを発売したときは、従来の高い価格設定だった商品が返品の嵐。大幅な営業赤字に陥った。

 だが、「店頭では予想以上に新商品が売れていたので心配はしていなかった」と、あくまでも実売を重視。販売動向が日次で分かる「BCNランキングのデータで綿密に分析」し、いち早く勝算を得ていた。低価格化によってコンビニや書店ルートも開拓し、新販路でも売りやすいようパッケージも小さくした。


 「もし、コモディティ化を打ち出さなかったら、今の成功はない」。事実、赤字なのはその年だけで、以降は黒字。昨年度は4期連続の増収増益を達成した。

 2006年7月には、OSの公式サポート期間中、常に最新バージョンを無料で使い続けられる更新料ゼロの第一弾ウイルス駆除ソフト「ウイルスセキュリティZERO」を発売。その後、携帯電話メモリ編集、年賀状作成、ホームページ制作とZEROシリーズは続く。

 「どれだけ安くすれば、シェアはどこまで高まるのか。利益が最大化する価格帯はどこにあるのかを追求した結果が1980円であり、更新料ゼロだった」と、あくまで理詰めだ。

 「ある商品が偶然に売れることはあり得ない」が持論。訪販の企業向けソフトとは異なり、店頭で大量に売るソフトは統計的な特性が現れやすい。「何かの拍子で売れるとは考えるな」。

 仕入れて売るだけでなく、粗利の大きい自社開発商品も増やす。昨年11月には売れ筋のDVD書き込みソフトの版権を買収した。昨年度の会社全体の経常利益率は7%弱。数年後には10%超をイメージする。ZEROシリーズも売上高の半分を占めるまで拡大した。

 とはいえ、不確定要素もある。それはネットの動向だ。グーグルの無料ソフトは店頭に並ばない。ソフト流通が変わる可能性はあるが、「それは今ではない」とみる。店の棚に並ぶのは信頼の証。ブランド価値を高める販売店重視の姿勢は揺るがない。(BCN・安藤章司)
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ソースネクスト=http://www.sourcenext.com/