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ギガバイトユナイテッド 高瀚宇 セールス&マーケティング 担当副社長

2008/09/29 16:51

週刊BCN 2008年09月29日vol.1253掲載

 パソコンのコモディティ(日用品)化が進み、電子メールやウェブアプリケーションなど比較的軽いソフトが動けばいいというユーザーが増えた。インテルのAtomやVIAテクノロジーズのC7など電力消費が少ない小型パソコン向けCPUの人気が高いのも時代が変わりつつある現れだろう。

イノベーションの継続こそ最大の武器

――ギガバイトユナイテッド 高瀚宇 セールス&マーケティング 担当副社長

 だが、自らパソコンを組み立てる、自作パソコン(DIY)ならではの高い性能を求めるユーザーが増えているのも事実だ。台湾の大手マザーボードメーカーのギガバイトユナイテッドは、ナショナルブランドのパソコンメーカーがまだ採用していない最先端の規格を先駆けて採用。マザーボードメーカーだからこそできる斬新な機能を数多く盛り込む。フルHDの高精細な映像や迫力のサウンドはハードウェアの支援なしに実現できない。高瀚宇副社長は、「インターネットにあふれる動画や人気の3Dゲームを楽しみたい層が世界規模で増えている」とみる。その傾向が最も顕著に出るのが日本市場だ。パソコン出荷台数に占めるDIY比率は5%程度と少ないものの、耐久性や冷却能力、省エネなどマザーボードに求める要件のトレンドは「日本市場を分析することで見えてくる」。

 最大のライバルは同じ台湾のアスース・テック。年間のトップシェアを獲得したベンダーを表彰するBCNアワードの2008年版(07年1-12月)では、競りあった末に受賞をアスースに譲った。BCNランキングによる今年1-8月の販売台数シェアはアスースが43.5%、ギガバイトは33.0%と依然として後塵を拝している。だが、最終ラウンドの第4四半期が始まる10月には、マザーボード全体に熱伝導の高い銅板を挟み込んだ新製品を投入する。放熱性をよくすることでシステムを安定させ、コンデンサーなどの電子部品の耐久性も高める。「従来機に比べてボードの平均温度を少なくとも50度下げられる」。熱に悩むユーザーの多さを考えれば、「巻き返してトップシェアを獲れる」と、手応えを感じている。

 マザーボード専門会社として本体のギガバイトテクノロジーから2006年12月に独立したが、この10月1日で再び本体と合併統合する。今年度(08年12月期)の世界の出荷台数は2000万台に達する見通しで、2006年に比べておよそ2倍に増えるめどがついた。課題は、本体に戻ってもイノベーションを加速し続けること。技術革新の成否が業績に直結する。「創造性豊かで、革新的であることこそDIY市場で勝ち残る最大の要素だ」と、気を引き締める。(BCN・安藤章司)
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外部リンク

ギガバイトユナイテッド=http://www.gigabyte.co.jp/