大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>119.国産大手の参入でネットブック市場はどう変わる

2008/10/27 16:51

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

 いよいよ国産勢が、ネットブック市場に参入する。

 東芝は、10月下旬からネットブックNB100を国内市場に投入。NECも、11月からLaVie Lightの出荷を開始する。すでに欧州でネットブック「AMILO Mini Ui 3520」を発表している富士通も、日本市場への参入時期をうかがっているところだ。

海外勢に押され気味だが

 BCNの調べによると、ノートPC市場全体のうち、ネットブックが集中する10インチ以下のディスプレイを搭載したノートPCは、9月の販売実績で、ノートPC全体の23.9%を占め、前月の20.3%から構成比を拡大している。

 メーカー別シェアでは、8月にAspire Oneを投入した日本エイサーが52.8%と首位を獲得。2位にはネットブック市場の火付け役となったEee PCを擁するASUSが32.1%となり、これを追う。両社のシェアをあわせて、84.9%と寡占化が進んでいる状況だ。

 国内メーカーでは、工人舎が5.4%と、3位の日本ヒューレット・パッカードの5.6%、5位のMSIの3.5%に間に挟まれ、第2グループを形成しているにすぎない。

 こうした市場に向けて、いよいよ国産大手メーカーが参入を図るというわけだ。

ユーザーは国産を指向

 「省電力LEDの採用で、明るく見やすいClear SuperView TFTカラー液晶を搭載した。入力しやすく工夫したキーボードなどが特徴。モバイル用途向けの2台目として、PCを買い増すユーザーを狙いたい」と、東芝は自信のほどをうかがわせる。

 光沢のある黒色塗装によって、品質感も持たせるなどの工夫も見逃せない。

 7万円代半ばという価格設定はネットブックのなかでは高めだが、国産ならではのこだわりで差別化していく考えだ。

 一方、NECも国産メーカーならではのモノづくりを遺憾なく発揮している。

 耐圧150kgfという堅牢性や、独自のランチャーソフトの搭載、パワーオフ時のUSB充電の実現、ネットブック最大となる160GBのHDDなど、細かい点でのこだわりはNECならではのものだ。東芝同様、光沢黒色塗装も、質感を高めるものとして注目される。

 NECでは、6万円台半ばの価格設定とし、「2-3台目のPCを求める中・上級者をターゲット」として、買い増し用途を狙っていくという。

 あえて、新たなサブブランドとして「LaVie Light」を用意したところにも、NECの本気ぶりが感じられよう。

 東芝も、NECも、ネットブックに関しては、中国のODMでの生産となるため、その点では外資系メーカーのネットブックとの差異はないといえるが、製品企画やサポートの差によって、「日本のメーカーが作った、日本のユーザーのためのネットブック」というカテゴリーが創出できるかが注目される。

 NECの調べによると、ネットブックを購入したいとするユーザーのうち、71%の回答者が、「できれば国内メーカー製を購入したい」としている。

 いずれにしろ国産2社の市場参入によって、ネットブックの存在感は強いものになる。
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