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リコー ユニット交換式デジカメ投入

2009/12/03 18:45

週刊BCN 2009年11月30日vol.1311掲載

 リコーはレンズ、撮像素子、画像処理回路が一体になったカメラユニットを交換できるコンパクトデジタルカメラ「GXR」を12月上旬に発売する。センサーにはCCDとCMOSを採用した。同社はCCDと画素数1000万を基本にデジタル一眼レフ並みの高画質をもつコンパクトデジタルカメラで市場開拓を図ってきたが、「さらに高画質な写真を実現するにはレンズとセンサーとの最適な組み合わせが重要」(湯浅一弘・執行役員パーソナルマルチメディアカンパニー・プレジデント)として新方式を投入する。

カメラユニット交換式コンパクトデジカメ「GXR」。高級コンパクトのカテゴリで販売する

レンズと撮像素子の最適化を追求

 GXRはカメラユニットをスライド方式で着脱することができる。これにより、被写体や状況に応じた最適なカメラユニットを選んでの撮影が可能となる。レンズとセンサー、画像処理回路を一体化して着脱式にすることで、一眼レフ並みの画質を確保しながら、小型・軽量化を実現した。

 カメラユニットは当初、焦点距離が50mmのレンズと1230万画素のCMOSを搭載したユニットと、焦点距離24~72mmのズームレンズ、1000万画素のCCDを採用したユニットの2種類を用意する。

 リコーでは、「高画質を求めるユーザーは、使い切れない機能を備えた重いデジタル一眼レフを使っている人が多い」(湯浅プレジデント)と分析しており、GXRを小型・軽量で高画質なデジタルカメラとして訴求。初心者向けデジタル一眼の購入を検討している女性層などを主なターゲットとして売り込む。

湯浅一弘プレジデント

 リコーは、コンパクトデジタルカメラでデジタル一眼と同等の画質を追求する一方、デジタル一眼レフの特長である交換レンズ方式は採用しない方針をこれまで掲げてきた。

 今回のGXRは、その方針を転換したように映るが、湯浅プレジデントは「レンズ交換ではなく、あくまで“カメラユニット交換”。方針は変えていない」(同)と強調。「CCD、CMOSのそれぞれに特性があり、最適なレンズと組み合わせて、そのメリットを最大限に引き出すことがコンパクトデジカメではできていなかった」と、新方式導入について説明した。ユニット方式のアイデアは2年前から温めていたという。

 競合機種としては、オリンパスやパナソニックのマイクロフォーサーズ規格を採用したレンズ交換式デジタルカメラを想定している。今後は、小型プロジェクターやプリンタといったユニットの製品化も検討する。

 GXRは既存の「GR DIGITAL III」などと同じく、一般的なコンパクトデジタルカメラよりも単価の高い「高級コンパクト」と呼ばれるカテゴリで展開。「シェアは追わない」(同)考えで、高画質や高級コンパクトという付加価値で1台あたりの利益を高める。

 ただ、デジタルカメラの価格下落に慣れた一般ユーザーに、GXRがどれだけ支持されるかは未知数だ。実勢価格は本体が5万円前後、50mmレンズユニットは7万5000円前後、24~72mmレンズユニットは4万円前後の見通しで、一番安い組み合わせでも9万円台と高価だ。

 コストダウンの努力や低価格カメラユニット投入も考えているというが、製品の魅力をいかにアピールできるかが、景気低迷で固くなったユーザーの財布の紐を緩めるポイントになりそうだ。

 また、新方式の技術については「現時点ではオープンにしない」(同)考えだが、技術仕様を公開して仲間づくりを進めることが普及のカギを握るといえるだろう。(米山淳)

ユニットはスライドさせて交換が可能。レンズやセンサーにゴミがまったく入らないという
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