店頭流通

オンキヨー ONKYOブランドで個性派PC目指す

2010/03/11 18:45

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載

 オンキヨー(大朏宗徳代表取締役社長)は、2009年10月、オーディオブランド「ONKYO」をPC製品にまで広げた。09年冬モデルから10年春モデルにかけて、個性的なモデルを次々に投入。他社のラインアップとは異なる路線を貫いている。ブランド拡大は、PCを基幹事業として位置づけ、市場での地位を確保していく施策の一つ。ONKYOのブランド戦略を追った。

大瀧正気・執行役員
 「イノベーションと付加価値をもつマルチブランド」。大瀧正気・執行役員PCカンパニー国内営業部部長は、「ONKYO」をこう定義する。オンキヨーは08年9月にソーテックと合併。その後もSOTECブランドで、いわゆるスタンダードラインアップを軸にPCを訴求してきた。

 それから1年、09年10月に「ONKYO」ブランドを冠したPCの展開を開始した。目指すのは「PCとオーディオの融合」だ。ONKYOブランドには、オーディオ事業で長年培ってきた信頼がある。よい製品と一緒に、ユーザーに信頼・安心を届けることができる──これが、オンキヨーの強みだ。

 ブランドのコンセプトを形にしたのが、09年12月に発売した新しいカテゴリ「パーソナルモバイルPC」だ。ネットブックとの差異化を図り、PCメーカーの工人舎と協業したメリットを生かして、超小型、タブレット、デュアルディスプレイといった個性的なモデルに仕上げた。ニッチなユーザーにターゲットを絞ることで、2台目、3台目の買い増し需要を狙う。「ONKYOブランドの立ち位置が見えてきた」と大瀧氏は期待する。

 さらに春モデルからは、付加価値として「MADE IN JAPAN」を提示。鳥取・倉吉工場で展開する三位一体戦略、すなわち製造・修理・サポートの機能を一か所に集約することで、品質とCS(顧客満足)を高め、ブランド価値を向上させる。もちろん、生産リードタイムの短縮や在庫管理の効率化など、生産管理上の利点もある。

 販売では、提案型営業の手法で、家電量販店での店頭マーケティングに力を入れていく。パーソナルモバイルPCの専用コーナーを確保するほか、これまでWebだけで展開していたBTOを店頭まで拡大。09年10月から、ビックカメラの各店舗でサービスをスタートした。さらに10年1月には、法人営業課を新設。個性豊かなPCを、法人ユーザーにも強力にアピールする構えだ。

 ONKYOブランドとMADE IN JAPAN、個性豊かなパーソナルモバイルPC、そしてオーディオ技術を生かしたAVPCなどで、10年はONKYOブランドPCで28万台、180億円の売り上げを目指す。(井上真希子)
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