NECは、現状のSaaSメニューを50種にまで拡大し、パッケージとあわせて提供することで、新規ユーザー層の掘り起こしを図る。パートナー企業には、「パッケージSI(システム構築)とサービスの両方を取り扱ってもらい、すそ野を広げる」(製造・装置業ソリューション事業本部EXPLANNER部長の中村敏氏)という狙いだ。全国に370以上が点在するNEC系の販売会社の事業構造の変革を迫っていく。箱売りしか手がけていないパートナー企業にとっては、抵抗感があるかもしれない。中村部長は、このような見方に対し、「サービスだけでなく、パッケージもあわせて提供することになるので、パートナー企業にとっては資金繰りが有利になるはず」と、メリットを説明する。
パートナー企業は、独自のアプリケーションと組み合わせてNECのサービス基盤に乗せて提供することができる。同社とNECネクサソリューションズは、動作検証やセキュリティの技術支援でパートナー企業の販促活動を強力に後押しする。
「ハイブリッド型」のイメージとしては、販売管理はパッケージで、会計・給与はSaaSで、それぞれ組み合わせて提供していくことなどが考えられる。年商10億円以下の中小企業には、SaaSを中心に提供する考えだ。「年商30億円以下の企業はアドオン、カスタマイズしない」(NECネクサのソリューション・サービス事業推進部ERPソリューション推進部長の安達博哲氏)ためだ。NECネクサは、全体のメニューに「基幹業務SaaS by 奉行i」を組み込んで提供していく。
年商200億~500億円規模の企業では、「ハイブリッド型」が定着してきた。ユーザー企業の間で、情報システム部門の役割の見直しが進み、「IT投資にメスが入っている。そのため、手をかけたくない部分はサービスを利用する傾向がある」(中村部長)という。年商100億円以下の企業でも、将来は「ハイブリッド型」の導入が進むとみている。
NECネクサは、中堅企業向けERPの販売を「EXPLANNER」に集約化したわけではない。インフォベックの「GRANDIT」の販売にも引き続き注力していく。「EXPLANNER」は、年商100億円以下のユーザーで個別パッケージの導入が多く、一方で「GRANDIT」はすべての業務をパッケージに置き替えるビッグバン型が中心という違いはあるが、「予算スケールは同水準」(安達部長)。ユーザーのニーズで切り分ける考え方だ。
なお、すでに販売を終了している「NEXERP」(ネクサーブ)の保守切れを2012年に控えており、500社のユーザーのうち100社が後継の「EXPLANNER/Ai」に移行済み。「この1年で残りを乗せ換える」(安達部長)としている。(信澤健太)

(左から)NECネクサ 安達博哲部長、NEC 中村敏部長