中国の著作権保護活動に新しい動きが出てきた。日本のパッケージソフトウェアやコンテンツの著作権保護を目的に、中国版権保護センターが駐日オフィスを今年1月に開設。日本企業に向けた著作権保護に関する公共的なサービスの拡充に力を入れている。日系企業のなかには、不正コピーを恐れて、パッケージソフトの中国での販売に二の足を踏むケースがみられる。版権保護のサービス拡充でこうした状況が改善され、中国におけるソフト流通の活性化が期待される。
ソフトウェア流通に追い風
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ゴールデンブリッジの 森田栄光社長 |
日本向けの著作権保護サービスを提供するのは、中国新聞出版総署の直属機関である中国版権保護センターなど関係機関で、今年1月に同保護センターの日本オフィスを開設した。さらに、中国側も一部出資するゴールデンブリッジ(森田栄光社長)が事務手続き業務やコンサルティングサービスを提供する。中国政府は著作権保護を重視しており、サービスはその施策の一つに位置づけられる。
中国ではパッケージソフトなどをデジタルな出版物と定義し、中国での販売に当たって事前の登録を求めている。さらに関連機関による著作権の登録によって、万が一、中国で不正コピーが行われた場合には、事前の登録内容に照らし合わせて“不正コピー”であることを証明する役割も果たす。もし、事前の登録がなければ、不正コピーであるかどうかの中国における証明ができず、取り締まりが遅れる恐れがある。
日本のパッケージソフトベンダーのなかには、一部で問題になっている不正コピーを恐れて中国での販売を躊躇したり、なかには中国の著作権保護の仕組みをよく理解していないため、正しい手続きを踏まずに販売している可能性も危惧されている。ゴールデンブリッジの社長で中国版権保護センター日本オフィス所長も務める森田栄光氏は、「自動車にたとえれば、無保険で運転するようなもの」と警鐘を鳴らす。ルール違反であるばかりか、万が一、不正コピーに巻き込まれたとき、自らを十分に守れない危険性があると指摘する。
中国版権保護センターなど関係機関では、パッケージソフトのライセンス料金の日本への送金支援サービスも行っている。同センターがライセンスを預かり、これを中国現地での販売会社に届け、代金を日本の版元に送る仕組みだ。一定の手数料は発生するものの外貨送金が効率的にできるメリットがある。ゴールデンブリッジを通じて、こうしたサービスを利用する日本企業は、まだ数十社にとどまる。だが、サービスの認知度の高まりによって、2011年は100社を超えると見込まれている。森田社長は「中国における日本のパッケージソフトやコンテンツ流通の活発化につながる」と、手応えを感じている。(安藤章司)