5月末、BCNが主催する中国・上海でのセミナーにおいて、ACCSの魏鋒・上海事務所長が講演を行った。中国では、政府主導でソフトウェアの違法コピーを追放する正規版化運動が本格化しており、中央政府、地方政府に続いて、国営企業、民間企業へと、その範囲が広がっていることを説明した。一般的に、「中国はコピー天国」というイメージはまだ根強いと思われるが、ソフトウェア管理に関していえば、着実に進歩しているようだ。

 5月には、「ビジネス ソフトウェア アライアンス」(BSA)が、2009年の世界ソフトウェア違法コピー調査の結果を発表した。これによると、中国の09年における違法コピー率は79%。03年の調査では92%で、当時の調査対象国のうち、ベトナムと並んで最も違法コピー率が高いとされていたが、以後毎年減り続けている。政府主導の正規版化運動の成果は、このように数字にも現れている。

 日本は、この調査では21%。米国の20%に次ぐ2位で、ルクセンブルグと並んでいる。ちなみに4位は、22%のニュージーランド。順位と違法コピー率は、ここまで08年の調査結果とまったく変わっていない。

 このように日本は近年、違法コピー率においてトップレベルにあることから、韓国のテレビ局が日本の例を学びたいと、取材に来た。韓国は、ソフトウェア産業を育成するため政府が積極的な支援を行っているが、違法コピー率は41%で28位にとどまっている。

 こうした数字だけを比較すれば、日本が世界第2位の位置にあることを誇っていい。しかし、北海道庁をはじめ、自治体における違法コピーの使用が相次いで発覚したことを鑑みると、実際にはどの企業・団体もソフトウェア管理の徹底に苦慮しているのではないか。例えば、講演などで訪れた先で、ソフトウェア管理は行っていると答えた人から「ライセンスとは何ですか」と質問されたことがあり、実態には疑問符がつく。

 このような状況のなか、販売店の果たす役割は大きいと思う。改めて、日常的に接している企業や自治体にソフトウェア管理の徹底を案内してほしい。そうすることで、ボリュームライセンスやアップグレードなど、定期的な販売に結びつくと思う。ACCSでは、ソフトウェア管理を徹底するための冊子や資料を用意している。Webサイトからダウンロードすることもできるので、ぜひ利用していただきたい。
 
一般社団法人 コンピュータソフトウェア 著作権協会 専務理事 久保田 裕
久保田 裕(くぼた ゆたか)
 1956年生まれ。山口大学特命教授。文化審議会著作権分科会臨時委員、同分科会国際小委員会専門委員、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事、(株)サーティファイ著作権検定委員会委員長、特定非営利活動法人ブロードバンドスクール協会情報モラル担当理事などを務める。主な著書に「情報モラル宣言」(ダイヤモンド社)、「人生を棒に振る スマホ・ネットトラブル」(共著、双葉社)がある。